欧米企業のロシア撤退は一部にとどまるとの声、SPIEF2022で

(ロシア、米国、イタリア、フランス)

欧州ロシアCIS課

2022年06月21日

サンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF2022)(2022年6月21日記事同日別記事参照)では、外国企業団体とロシア企業団体との議論のセッションが設けられた。ロシアのウクライナ侵攻に対する欧米諸国による経済制裁などでロシアでの外国企業の活動が停滞する一方、外国企業はそれほどロシア市場から撤退していないとの声が聞かれた。

在ロシア米国商工会議所(アムチャム)のロバート・エイジー会頭は、2022年5月に実施した会員向けアンケートの結果、回答企業の85%がロシア市場に残留する意向だと述べた(注)。イタリア・ロシア商工会議所のビンチェンツォ・トラニ会頭は「ロシア市場から撤退したイタリア企業は極めて少ない」とする。

イタリア産業総連盟ロシア支部のアルフレッド・ゴッツィ事務局長は「イタリア企業はロシア企業との協業でロシア・ビジネスを存続させることを希望している」と述べ、送金・決済などの困難は残るものの、同国企業の多くは当面ロシアに残るだろうとの見方を示した。イタリア企業には比較的中小企業が多く、レピュテーションリスクの判断も含め意思決定が比較的柔軟に行いやすいことが背景にある。

ロシア側からは、困難な時期だからこそ外国企業との対話や協業によりロシアのビジネス環境改善を続け、結果として外国企業がロシアでの事業を継続、あるいは再開することへの期待の声が聞かれた。特に、外国企業のみならず、外国企業との取引に関係するロシア企業にも大きな影響を及ぼすとみられる、制裁協力者に対する刑事罰適用を認める法案審議については、ロシア側各団体からも反対の声があらためて上がった。

セッション参加団体は次のとおり。

  • 外国側:在ロシア米国商工会議所(アムチャム)、イタリア産業連盟(コンフインダストリア)ロシア支部、イタリア・ロシア商工会議所、フランス・ロシア商工会議所
  • ロシア側:産業家起業家連盟(RSPP)、連邦商工会議所、実業ロシア、全ロシア中小企業連盟「オポラ・ロシア」、シベリア輸出入会社(SEIC)

(注)アムチャムの会員企業数は500以上だが、アンケートの回答率は不明。

(欧州ロシアCIS課)

(ロシア、米国、イタリア、フランス)

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