重要性増す中国への過度な依存に警戒感も、SPIEF2022で

(ロシア、中国)

欧州ロシアCIS課

2022年06月21日

6月15~18日に開催されたロシアの主要な経済イベントであるサンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF)では、中国の存在感が目立った。

16日の朝に開催された「ロシアと中国」のセッションで、張漢暉・駐ロシア大使は2022年1~5月に2国間の貿易額が前年同期比28.9%増の658億ドルとなったことを紹介し、「年間2,000億ドルを目指す」と発言。また、対話の中では物流に関し、ロシア鉄道のセルゲイ・パブロフ第1副社長が、アムール川沿いのニジュニレンスコエと同江間の鉄道橋の運用を今夏に開始すると明らかにした。アムール川沿いのロシア・ブラゴベシェンスクと中国・黒河を結ぶ橋が6月10日に開通したのに続き(2022年6月20日記事参照)、2国間の物流インフラの整備は着実に進んでいる。

同日には、国営天然ガス企業ガスプロムと中国石油天然気集団(CNPC)との間で中国向け天然ガスパイプライン「シベリアの力」(2019年12月12日記事参照)の技術協定が結ばれた(「ベドモスチ」紙6月15日)ほか、17日に開かれた「障壁のないスポーツ」セッションでは中ロ両国が今後2年間、スポーツ分野でも協力していく意向であることが紹介された(「タス通信」6月17日)。

ただ、ロシア側には、中国との関係が一筋縄ではいかない苦しさも垣間見える。16日の夕刻に開催されたセッション「東方への方向転換3.0」では、登壇したロシアの石炭関連会社から「信頼できる関係を築いてきた日本と韓国がロシア産石炭の購入を停止したことで、今や中国が戦略的なパートナーになった」と中国の重要性が説かれる一方で、現在、同社が中国から受けている大幅な割引の要求について「不当なレベルだ」「中国に依存することは業界の利益とならない」との発言もみられた(電子メディア「イースト・ロシア」6月17日)。欧米からの経済制裁を受け東方にかじを切ろうとしている中、ロシアでは中国に対して期待感が膨らむのと同時に、同国への依存度の高まりを警戒する声も強まっている。

【欧州ロシアCIS課】

(ロシア、中国)

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