カナダ、第1四半期GDPは年率3.1%増、民間投資や個人消費が牽引

(カナダ)

トロント発

2022年06月01日

カナダ統計局が5月31日に発表した2022年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率は前期比年率3.1%増外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、2021年第3四半期の同5.3%増、第4四半期の6.6%増に続く3四半期連続の拡大となった。民間投資や個人消費が増加したものの、輸出が落ち込んだことから伸びは鈍化した。

最大の牽引役は民間投資のうち住宅投資で、前期比年率18.1%増と2021年第4四半期の12.4%増に続き2四半期連続の増加となった。家計の住宅ローン債務は、2021年第4四半期に記録した448億Cドル(約4兆5,696億円、Cドル、1Cドル=約102円)からは減少したものの、第1四半期は339億ドルと高止まりをみせた。カナダ中央銀行は、2022年3月2日、2020年3月以降据え置いていた政策金利を0.25%から0.5%に引き上げている(2020年3月3日記事参照)。また、設備投資は前期比年率9.0%増で4四半期連続増となった。

さらに、個人消費支出は前期比年率3.4%増と3四半期連続で増加した。カナダ全土で対面での販売やサービスが制限される中でも、ほとんどの財・サービスへの支出が拡大した。

一方、輸出は前期比年率9.4%減となり、2021年第4四半期に記録した13.6%増から大きく落ち込んだほか、輸入についても前期の16.9%増から同2.8%減となるなど低調だった。

なお、統計局では特筆すべき点として家計の貯蓄率の上昇を挙げた。2022年第1四半期の家計貯蓄率は8.1%で2021年第4四半期の6.9%を上回り、2020年以前の10年間の家計貯蓄率平均3.5%と比較しても高い水準となった。政府による新型コロナウイルスに対応した給付制度の終了やインフレの上昇を考慮しても、消費者の貯蓄率は年明けにさらに上昇したことになる。ただし、この傾向は、インフレが継続し、第1四半期にみられた従業員給与の上昇が継続しない場合には、家計貯蓄率は長期的には持続しない可能性があると同局では予測した。

統計局による今回の発表を受け、モントリオール銀行のチーフエコノミスト、ダグラス・ポーター氏は、「第1四半期の経済成長率は、非常に明るい見通しであったにもかかわらず、貿易が最大の足かせとなり、明らかに低い水準にとどまった。しかし、カナダ経済は第1四半期と2022年通年の両方で、他国よりも回復力があり、2022年は4%近い成長軌道に乗ると思われる」と楽観的な見通しを示した(BMO「エコノファクツ」5月31日)。

(飯田洋子)

(カナダ)

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