カナダ中銀、政策金利を0.5%に引き上げ、量的引き締め示唆

(カナダ)

トロント発

2022年03月03日

カナダ中央銀行は3月2日、政策金利を0.25ポイント引き上げて0.5%にすると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。金利引き上げは2018年10月以来で、2020年2月に1.75%だった金利は新型コロナウイルス感染拡大に伴う景気後退への懸念から、2020年3月に0.25%まで引き下げられていた(2020年3月30日記事参照)。

中銀は1月末の政策金利発表でも経済全体の需給の緩みは吸収されたとの見方を示し、今後の利上げの可能性を示唆していた(2022年1月27日記事参照)。今回の声明によると、2021年第4四半期(10~12月)の経済成長率は6.7%と、中銀の予測を上回る高い水準で、需給の緩みの吸収が裏付けられたこと、また、1月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.1%上昇外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと、1991年9月(同5.5%)以来の高い伸びで、中銀の目標範囲の1~3%を大幅に上回ったことから利上げに踏み切ったという。

また「ロシアによるウクライナへの攻撃が新たな不確実性の大きな要因となっている。原油をはじめとする商品価格が急騰し、世界中のインフレに拍車をかけ、信用への悪影響や新たな供給の混乱が世界の成長を圧迫する可能性がある」として、今後の動向を注視することも明らかにした。さらに「経済が拡大を続け、物価上昇圧力が高止まりしているため、政策金利をさらに引き上げる必要がある」として、継続的な金利引き上げを示唆するとともに、経済刺激策として実施していた量的緩和政策で買い入れた国債の保有を減らす「量的引き締め」について開始時期を検討するとした。

中銀の発表を受け、BMOキャピタルマーケッツのエコノミスト、ベンジャミン・ライツ氏は「世界情勢が大きく悪化しなければ、次回4月の会合でさらに0.25ポイントの利上げが見込まれる」と予測した(BMO「エコノファクツ」3月2日)。

次回の政策金利発表は4月13日に予定されている。

(飯田洋子)

(カナダ)

ビジネス短信 0489d4dab995c18b