中銀、主要政策金利を25%に引き上げ

(ウクライナ)

欧州ロシアCIS課

2022年06月06日

ウクライナ国立銀行(NBU、中央銀行)は6月3日、主要政策金利を10%から25%に引き上げた。

NBUは利上げを行った背景について、家計収入および貯蓄の保護、フリブニャ資産の価値向上、外国為替市場の圧力軽減を行い、ひいては戦時下でNBUが安定した為替レートを維持する能力を強化するとともに、インフレを抑制することが目的と説明している。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が開始された当初、NBUは主要政策金利を変更してもフリブニャ資産の価値を維持するのは難しいとし、固定相場制の導入で銀行および決済システムの機能維持に注力した(6月2日付プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

NBUのキリル・シェフチェンコ総裁は「主要政策金利のわずかな引き上げでは金融・経済システムに望ましい影響を及ぼさない」と述べ、戦時のため政策効果の波及が限られること、預金者がさらなる金利の引き上げを期待しフリブニャ建て預金を控えてしまうこと、また投資家のフリブニャ資産への関心を呼び戻すには、利回りが予想インフレ率を上回る必要があることを大幅利上げの理由として挙げた。

NBUは1月21日に主要政策金利を9%から10%に引き上げている(2022年1月27日記事参照)。また、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が開始された2月24日には、公定為替レートを同日時点のレートに固定すると決定している(2022年3月3日記事参照)。

(宮下恵輔)

(ウクライナ)

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