ウクライナ国立銀行、金融システム安定化へ臨時措置を導入

(ウクライナ、ロシア、ベラルーシ)

ワルシャワ発

2022年03月03日

ウクライナ国立銀行(NBU、中央銀行)は2月24日、全土に戒厳令が発出されたことを受け、同国の銀行の運営方法などをまとめた決議案を可決した。金融システムの信頼性と安定性を確保し、ウクライナ軍の活動を全面的に支援するとともに、重要なインフラの円滑な運用を促進することが目的。

この決議により、銀行は以下の特別体制になる。

  • 銀行は、国民の生命や健康に危険が及ばない限り、支店の業務を中断させない。
  • 銀行は同決議で規定された制限の下で業務を継続する。
  • 銀行は貸金庫へのアクセスを中断することなく提供する。
  • 全てのキャッシュレス決済が制限なく行われることを保証する。
  • ATMの現金補充は制限なく実施する。
  • NBUは各行に対して現金の供給を継続。
  • 銀行が流動性を維持できるよう、NBUは金額無制限の無担保借り換えローンを銀行に提供(最長1年満期、1年延長のオプション付き)。
  • 政府による支払いはこの特別な期間に適用される法律に従い制限なく行われる。

今回の決議には、以下の一時的な措置も含まれる。

  • 顧客による外貨売却を除き、ウクライナの外国為替市場の運営を一時停止。
  • 公定為替レートを2月24日時点のレートに固定。
  • 政府の動員計画実施を保証する企業や機関、手数料を支払わずに営業するNBUの特別許可を得た事業体を除き、顧客口座からの現金引き出しを、給与と社会給付を除いて、1日10万フリブニャ(約39万円、1フリブニャ=約3.9円)に制限。
  • 政府の動員計画実施を保証する企業や機関、NBUの特別な許可を得た事業体を除き、顧客口座から外貨での現金引き出しを禁止、外貨のクロスボーダー決済を一時停止。
  • ウクライナに武力攻撃を行った国の住民が所有する口座からのデビット取引を停止。
  • 電子マネーの発行、電子財布への電子マネーの補充、発行銀行による電子マネーの配布を停止。

また、NBUは2月27日、国際決済システムのビザとマスターカードに対し、ロシアに拠点を置く銀行が発行した決済カードのサービスを停止するよう求めた。要求の背景について、NBUのキリロ・シェフチェンコ総裁は「国際的な決済システムのビザとマスターカードを通じてウクライナに対する武力行使のための金融的支援が行われることを防がなければならない」と述べた。ロイター通信(3月1日)によると、ロシアによるウクライナへの軍事行動に対して科された米国政府の制裁を順守し、ビザとマスターカードは複数のロシアの金融機関をネットワークから排除したとされている。また、2社は人道支援のためそれぞれ200万ドルを寄付する予定(ロイター通信3月1日)。

ほかにもNBUは3月1日、ウクライナ軍を支援する特別の資金調達口座を開設。翌日時点で総額60億フリブニャ以上が送金されたと発表している。

ウクライナでは3月1日以降、NBUの決定により、ロシアとベラルーシの銀行が発行した決済カードは使用できなくなっている

(今西遼香、マルタ・ゴロンカ)

(ウクライナ、ロシア、ベラルーシ)

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