米国税関国境保護局、ウイグル強制労働防止法の3回のウェビナーで参加者の質問に回答

(米国、中国)

ニューヨーク発

2022年06月20日

米国税関国境保護局(CBP)は、2021年末に成立した中国の新疆ウイグル自治区が関与する製品の輸入を原則禁止する法律〔ウイグル強制労働防止法(H.R. 6256、UFLPA)〕(2021年12月23日記事参照)に関して、6月1、7、16日にウェビナーを開催した(2022年5月26日記事参照)。ウェビナーでは、UFLPAの実施概要について情報提供するとともに、ウェビナー後半では質疑応答の時間を設け、CBPは参加者からの質問に答えた。

質疑応答では、法律の執行開始日や適用範囲や米国への輸入手続きに関する質問が多く出た。

執行開始日について、産業界に法令順守のための時間を与えるために執行を後ろ倒しにする予定はないか尋ねたところ、CBPの担当官は「法律の条文どおり6月21日に執行を開始する。CBPはそのためのリソースを有している」と答えた。また、執行の対象分野について、担当官は、トマトやポリシリコン、綿など強制労働のリスクが高い分野はあるが、特定の産業に限定せず、全面的に法執行を行う、と述べた。 輸入する製品に新疆ウイグル自治区が関わる原材料や部品がわずかでも含まれていれば、UFLPAに基づく輸入禁止措置の対象になると理解してよいか、との質問について、担当官は、理解のとおりで、UFLPAにデミニミス規定(規制に抵触する原材料・部品の金額または数量が製品全体に占める割合が少数の場合の例外措置)はない、と回答した。

輸入手続きに関し、UFLPAに基づき貨物が差し止められた場合の通知について、担当官は、貨物を差し止めた際には、WRO(違反商品保留命令)の場合と同様、輸入した港の税関から輸入者または通関業者に通知を送る、と答えた。輸入物品が強制労働に依拠していないことを証明するための「明白で説得的な証拠」の具体的な内容について、担当官は、「明白で説得的な証拠」は自社のサプライチェーンが強制労働に関わっていないことを証明する書類となり、詳細は輸入者向けガイダンス(2022年6月14日6月17日記事参照)を参照するよう回答した。製品サプライヤーに製品のサプライチェーンに関する情報照会を行った際に、同サプライヤー所在国の法律によって情報が開示できないと断られた場合のCBPの対応について、担当官は、その場合でも、「明白で説得的な証拠」が得られなかったということで差し止め対象となるとした。

なお、米国国土安全保障省(DHS)は6月17日、UFLPAの執行策をまとめた文書「中国で強制労働により採掘、生産または製造された物品の輸入を防止するための戦略(UFLPA戦略)」を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(2022年6月20日記事参照)。

CBPが6月に開催した計3回のウェビナーにおける質疑応答の概要は添付資料参照。

(甲斐野裕之、中溝丘)

(米国、中国)

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