イノベーション分野を通じて日伯関係強化へ期待

(ブラジル、シンガポール、イスラエル、日本)

サンパウロ発

2022年06月10日

ブラジル輸出投資振興局(Apex-Brasil)およびブラジル・プライベートエクィテイ・ベンチャー・キャピタル協会(ABVCAP)は5月9日から13日の5日間、東京に滞在し、スタートアップ企業を支援する日本のエコシステム関係者など約18企業・団体・施設を、ジェトロとともに訪問した。

目的は、海外スタートアップ企業のブラジル市場でのビジネス展開を支援するブラジル政府主導のプログラム「Scale Up in Brazil外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます2022」(注)を、日本のエコシステム関係者に広報するとともに、日本のエコシステム市場を知るためだ。

本滞在を終え、ABVCAPで国際関係を担当するクリスティアーニ・ド・ナシメント氏に日本のエコシステム環境や成長性について尋ねたところ、以下のコメントを得た(6月6日)。

  • 2021年の日伯両国へのベンチャーキャピタル投資額を比較すると、ブラジルが93億ドルに対して、日本は20億ドルに達していないなど、投資拡大余地がある印象。そして、今回関係者と意見交換し、日本のベンチャーキャピタル市場を育成するために官民が足並みを揃えていることが理解できた。
  • 日本は技術開発のノウハウと実績がある。このようなノウハウと実績は、国内外で競争力を高める必要性に迫られている現在のブラジルの工業分野を補完できる。ブラジルでの日本企業の活躍が大いに期待される。
  • 日本は、歴史的にブラジルと重要な関係が続いているにもかかわらず、ブラジルがイノベーションやベンチャーキャピタル分野で世界的に躍進していることがまだ日本で十分に認知されていない。
  • 中長期的に、日本はベンチャーキャピタル投資受け入れの主要市場の1つになると予想している。ブラジルは、今後も日本のベンチャーキャピタル、経営者、企業とコミュニケーションを継続し、より日伯両国間のイノベーション関連における新規ビジネス創出に向け関係強化していきたい。

(注)「Scale Up in Brazil 2022」は、ブラジルの政府機関がイスラエル貿易投資庁、シンガポール企業庁(エンタープライス・シンガポール)およびジェトロと共催で実施するプログラム。本プログラムは、2019年よりApex-Brasil、ABVCAP、ならびにイスラエル貿易振興庁(イスラエル・トレード)が発案し開始され、2022年より、対象国に、シンガポールと日本が加わった。Scale Up in Brazilの詳細は、日本語ガイドライン2021年12月22日記事2022年5月25日記事参照。

(松平史寿子)

(ブラジル、シンガポール、イスラエル、日本)

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