ブラジルの貿易振興機関が日本のスタートアップ支援プログラムを開始

(ブラジル、日本、イスラエル、シンガポール)

サンパウロ発

2021年12月22日

ブラジル輸出投資振興局(Apex-Brasil)とABVCAP(ブラジル・プライベートエクィテイ・ベンチャー・キャピタル協会)は共同で、日本のスタートアップ企業のブラジル進出支援を開始する。両機関が11月30日に開催した、海外スタートアップ企業がブラジルでビジネス展開するに当たっての支援プログラム「Scale Up in Brazil 2022外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」のキックオフミーティングで明らかにした。

同プログラムの支援対象は、イスラエル、シンガポール、日本のスタートアップ企業。プログラムの実施に当たっては、各国の貿易・投資振興機関が協力する(注)。

同プログラムではこれまでイスラエルのスタートアップ企業のみを対象にしており(2021年6月25日記事参照)、Apex-Brasil、ABVCAP、イスラエル・トレード&インベストメントの3機関が連携して、ブラジルの社会課題解決に資する技術を持つスタートアップ企業のブラジルでのビジネス展開を長期間にわたり支援してきた。本プログラムの支援対象に選定されると、ブラジル市場に関するブリーフィングやメンタリング、ビジネスマッチングのアレンジなどの支援を受けることができる。今回、同プログラムの支援対象に日本が含まれたことで、日本のスタートアップ企業のブラジルにおけるビジネス展開の可能性が広がるとみられる。

Apex-Brasil投資部長のアダルベルト・ネット氏は「ブラジルのエコシステムは約1万2,000社のスタートアップ企業の集積、洗練された金融システム、ベンチャーキャピタル投資などにより成熟している」と強調した。

その上で、「ブラジルは複雑なビジネス環境を持つ経済圏で、長期間の支援プログラムを通じて当地エコシステムを理解することが重要だ」と述べた。

本プログラムの発起人の1人、イスラエル・トレード&インベストメントの経済担当領事であるイツァーク・レイヒ氏は「イスラエル企業とブラジル企業のビジネスマッチングは商習慣の違いにより、具体的な商談に至らない状況が多かった」と振り返る。そこで、同プログラムを開始したところ、これまでにイスラエルのスタートアップ111社が応募、うち15社が支援対象に選ばれ、プログラムの支援を受けた結果、ビジネスにつながる成果をあげた。

日本を含む「Scale Up in Brazil 2022」への応募開始時期は、2022年3月ごろから予定している。支援対象に選定されると、プログラムは全て無料で受けられる。

(注)協力機関は、イスラエル・トレード&インベストメント、エンタープライズ・シンガポール、ジェトロ。関心のある企業はジェトロ・サンパウロ事務所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて相談を受け付けている。

(タチアナ・ナガミネ、松平史寿子)

(ブラジル、日本、イスラエル、シンガポール)

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