米商務省が旅行・観光戦略発表、2027年に外国人旅行者数9,000万人を目指す

(米国)

ニューヨーク発

2022年06月14日

米国商務省は6月6日、2027年までに年間外国人旅行者数9,000万人目指すとした、旅行・観光戦略を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。新型コロナ禍前の2019年には8,000万人を記録していた外国人旅行者は、2021年に約2,200万人まで落ち込んでいる。9,000万人の外国人旅行者による消費額は2,790億ドルを見込んでおり、経済活性化とともに旅行・観光業など関連する米国内での雇用増を狙う。

戦略では、(1)旅行先として米国をアピール、(2)米国渡航および国内移動の円滑化、(3)多様で包括的かつアクセスしやすい観光、(4)レジリエントかつ持続可能な観光業促進、の4本柱を設定。(1)では、州政府や民間企業などと協力して、各観光地の魅力をSNSを活用して積極的に発信、(2)では、外国人旅行者の身元確認作業のデジタル化などによる利便性の向上、(3)では、これまで十分に観光産業の恩恵を受けてこなかったコミュニティや人々に焦点を当てた多様な観光商品開発の支援、(4)では、観光分野での二酸化炭素(CO2)削減など気候変動に対応した観光業の促進などを掲げている。

商務省によれば、2020年のGDPの落ち込みのうち56%を旅行・観光業の減少が占め、観光収入は2019年比65%減少したとしている。商務省のジーナ・レモンド長官は今回発表された戦略について、「米国の公的部門と民間部門が提供できる最高のものを活用しており、雇用を促進するとともに失われた収益を回復し、(外国人旅行者にとって)忘れられない経験を提供するものだ」と述べている。

経済活性化に向け、外国人旅行者の受け入れにかじを切る米国だが、これまで米国への入国に当たって搭乗1日前までの新型コロナウイルス感染検査を義務付けていた措置につき、米国疾病予防管理センター(CDC)は6月10日、これを不要とすることを発表した。6月12日から早速適用される(2022年6月13日記事参照)。なお、英国やドイツなども同様に入国前検査を撤廃している。

(宮野慶太)

(米国)

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