米国、空路入国者への新型コロナ検査義務付けを6月12日から撤廃

(米国)

ニューヨーク発

2022年06月13日

米国疾病予防管理センター(CDC)は6月10日、米国への空路入国者に対して義務付けていた、搭乗1日前までの新型コロナウイルス感染検査の陰性証明の提示を米東部時間6月12日から撤廃すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(注)。陰性証明と併せて求められていた宣誓供述書の要求についても同時に効力を失ったほか、新型コロナウイルスに感染していた場合に、過去90日以内に回復した証明の提示も合わせて撤廃される。ただし、新たな変異株が出現した場合などには、再導入の可能性があるとしている。なお、米国市民でない者は引き続き、ワクチン完了証明の提示は必要となる。

CDCは2021年1月に、全世界からの空路入国者に対して搭乗3日前までの検査での陰性証明提示義務を導入し、同年12月からは検査の期限を搭乗1日前までに短縮していた(2021年12月6日記事参照)。米国では2021年末から2022年初頭にかけて流行したオミクロン型変異株による感染増が落ち着きを見せて以降、州・自治体レベルを含めて新型コロナウイルス関連の行動規制を撤廃してきたが、空路入国者に対する陰性証明の提示義務は継続していた。

これに対して、米国の航空業界や旅行業界が早期に撤廃するようバイデン政権に働きかけていた。主要な米航空会社などで構成するエアラインズ・フォー・アメリカは6月10日の声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「航空業界は、現在の疫学的環境を踏まえて政権が出発前検査の義務付け撤廃を決断したことを評価する。検査義務の撤廃は米国への空路渡航を奨励・回復し、観光業に深く依存している全米の各地域に恩恵を与える」と歓迎している。米国観光協会の試算PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、検査義務撤廃は2022年の残りの期間に、540万人の空路入国者の増加、90億ドルの観光関連支出の増加につながり、年間合計でそれぞれ5,330万人(パンデミック前の2019年比:67.1%)、1,098億ドル(同60.7%)になるとしている。

CDCは検査の義務付けは撤廃したものの、米国への空路入国者に対して搭乗3日前までの検査受診と、体調が悪い場合には渡航を中止するよう推奨している。今回の検査義務付け撤廃の詳細についてはCDCの説明ページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。今後の最新情報についてはCDCの国際渡航のページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも参照のこと。

(注)検査義務付け撤廃の効力は、米東部時間6月12日午前0時1分以降に出発する航空便に適用される。

(磯部真一)

(米国)

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