在外エジプト人の海外からの送金が過去最大の315億ドル
(エジプト)
カイロ発
2022年06月09日
世界銀行の報告書(5月11日公開)によると、2021年のエジプト向け郷里送金額は前年比6.4%増の315億ドルとなった。近年は増加傾向で、前年2020年においても296億ドルで過去最大なっており、これを更新した。中東・北アフリカ地域では最大の受け取り額で、世界では、インド、メキシコ、中国、フィリピンに次ぐ5位となっている。
背景には、エジプト人の主要な出稼ぎ先となっている湾岸諸国が、燃料価格の上昇などで好景気なことなどがある。ただし、近年、湾岸諸国では自国民の雇用創出のため、外国人労働者数を制限する動きもみられる。現在はエジプトからの労働者が受け入れられているが、将来の送金額については、今後の湾岸諸国の労働者規制にも左右される。
エジプトでは、ロシアによるウクライナ侵攻以降、外貨準備高が急減し、2022年4月末には微増となったものの、政府は外貨確保を重要視している(2022年5月16日記事参照)。そのような中、エジプトの郷里送金額は、2021年時点でGDP比では7.9%と、貴重な外貨収入源になっている。
(井澤壌士)
(エジプト)
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