4月の外貨準備高は微増

(エジプト)

カイロ発

2022年05月16日

エジプト中央銀行は5月8日、4月末の外貨準備高は先月比約4,000万ドル増の371億ドルと公表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。3月末には、流出した外国投資の穴埋めや、戦略物資の確保、対外債務の適時支払いのため、外貨準備高が急落していた(2022年4月21日記事参照)。さらなる減少も懸念されていたが、政府による湾岸諸国への支援依頼や中銀の利上げなどの金融施策などもあり、4月末は外貨準備高の微増となった。

公式見解を示していないものの、中銀は引き続き外貨準備高を確保すべく、輸入管理する動きをみせており、エジプト向け輸入に関わる日本企業のビジネス上の課題となっている。

エジプトは「アラブの春」以降の政治・経済混乱期に、外貨準備高が輸入の約3カ月相当という深刻な外貨不足に陥っており、外貨確保のため輸入を管理していた。2017年以降はIMFの支援により外貨準備高は安定していたが、新型コロナウイルスやウクライナ危機の影響もあり、現在の外貨準備高は輸入5カ月分相当まで減少している。米国の金利上昇に伴う資金引き揚げの抑制や、エジプト国内のインフレ対策として、エジプトでは3月に続く利上げ予想が報道される中、今後も外貨準備高の状況や中銀の輸入決済関連規制を注意深く見る必要がある。

【外貨準備高推移(会計年度末6月時点)】

  • 2021年:406億ドル(輸入6.9カ月相当)
  • 2020年:382億ドル(輸入7.3カ月相当)
  • 2019年:445億ドル(輸入8.0カ月相当)
  • 2018年:443億ドル(輸入8.4カ月相当)
  • 2017年:313億ドル(輸入6.4カ月相当)
  • 2016年:175億ドル(輸入3.7カ月相当)
  • 2015年:201億ドル(輸入3.9カ月相当)
  • 2014年:167億ドル(輸入3.3カ月相当)
  • 2013年:149億ドル(輸入3.1カ月相当)

(井澤壌士)

(エジプト)

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