韓国企業がUAEでアンモニア生産工場建設へ

(アラブ首長国連邦、韓国)

ドバイ発

2022年06月21日

韓国電力公社(KEPCO)とサムスン物産、韓国西部発電の3社は6月2日、アラブ首長国連邦(UAE)企業のペトロリン・ケミー(Petrolyn Chemie)との間で、グリーン水素・アンモニア事業の共同開発協約を締結したと発表した。投資額は10億ドル。同事業は、この3社が「チーム・コリア(Team Korea)」を結成して参画する韓国初の海外でのグリーン水素・アンモニア製造プロジェクトとなる。

同プロジェクトは、アブダビ首長国のハリーファ工業地域(KIZAD)に、年間生産量20万トン規模のグリーンアンモニア生産プラントを建設する計画。第1段階として年間3万5,000トン規模のグリーンアンモニアを生産し、第2段階として年間16万5,000トンを拡張生産する計画を立てている。グリーン水素については報道発表では言及がなく、製造計画は不明だ。

韓国とUAE間の脱炭素の連携については、2022年1月に文在寅(ムン・ジェイン)大統領(当時)がドバイ万博の韓国ナショナルデーに合わせてUAEに来訪し、両国間での水素エコシステムの協力を加速すると発言していた(2022年1月25日記事参照)。6月8日にはジャーベルUAE産業・先端技術相兼アブダビ石油公社(ADNOC)最高経営責任者(CEO)が韓国を訪問し、李昌洋(イ・チャンヤン)産業資源部長官と両国間の資源サプライチェーンについて今後の協力を確認し合うなど、政府要人の活発な往来の中で、脱炭素分野での協力関係を強化する動きが目立っている。

韓国政府は、パリ協定の「国が決定する貢献」(NDC)で、2030年までに炭素排出量を2018年比で40%削減し、2050年までカーボンニュートラルを達成するという目標を定めている(2021年10月27日記事参照)。特に発電分野では、2030年以降年間1,100万トンのアンモニア、2050年以降は年間1,350万トンの水素がそれぞれ必要と見込まれ、このうち80%以上を海外調達しなければならない状況だ。UAEは水素やアンモニアの生産能力向上に積極的で、再生エネルギーによる発電コストも他国に比べて安いため、韓国がこの分野での協力を重要視していることがうかがえる。UAEは、これまで同分野ではドイツとの協業が目立っていた(2021年9月1日付地域・分析レポート参照)が、韓国を協業先に加え、水素関連プロジェクトをさらに加速させるとみられる。

(吉村優美子)

(アラブ首長国連邦、韓国)

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