韓国の文大統領がUAE、サウジアラビア、エジプトを訪問

(韓国、中東、アフリカ、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エジプト)

中東アフリカ課

2022年01月25日

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は1月15~22日、中東のアラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、エジプトの3カ国を訪問し、関係強化に向けて各国要人との会談などを行った。各国での主な活動内容は、政府発表や現地報道などによると、以下のとおり。

最初の訪問国のUAE(15~18日)では、16日にドバイ万博に出展している韓国館の公式行事に出席し、2030年の釜山への国際博覧会誘致などを訴えた。会場ではドバイ首長国のムハンマド・アール・マクトゥーム首長と会談し、韓国の弾道ミサイル迎撃システム「天弓2」のUAE向け販売に合意した。その後、韓国・UAE水素協力ビジネス・ラウンドテーブルや、「アブダビ持続可能性週間」などの脱炭素関連行事にも参加し、UAEと協力して気候変動対策に取り組む姿勢を見せた。

ただし、17日のアブダビ首長国のムハンマド・アール・ナヒヤーン皇太子との会談予定は直前にキャンセルとなり、約25分の電話会談に変更された。UAE側はキャンセル理由を「予想外の緊急事態」としたが、同日にはイエメンの武装組織フーシ派の犯行声明を受けて、アブダビ国際空港や工場地帯でドローン(小型無人機)攻撃とみられる爆発や火災が発生し、9人が死傷する事案が起きていた。

サウジアラビア(18~19日)では、18日にムハンマド・ビン・サルマン皇太子と会談し、新型コロナウイルスや国防分野での協力に加えて、サウジアラビアの2060年のカーボンニュートラル達成目標や、NEOMなどのスマートシティー建設プロジェクトに対し、韓国企業の参画を呼びかけて協力すると表明した。また、リヤドで開催された2国間の「スマート革新成長フォーラム」に出席し、水素・エネルギー分野で9件、製造・インフラ・デジタル・ヘルスケア分野で5件、計14件の協力覚書(MoU)を締結した。翌19日にはGCC(湾岸協力会議)事務総長を訪問し、2010年以降途絶えていた韓国とGCCの自由貿易協定(FTA)交渉を再開することで合意した。

エジプト(20~21日)では、20日にエルシーシ大統領との首脳会談を実施。情勢問題などの協議に加えて、「貿易経済パートナーシップ共同研究了解覚書(MoU)」を締結し、両国の将来的なFTA締結に向けた土台とした。さらに、韓国企業がエジプトの都市鉄道や海水淡水化などの交通・水資源インフラ部門や、石油化学産業、電気自動車(EV)分野、水素トラムの設置などに協力できるよう支援すると述べた。国防・防衛産業分野では、最終妥結はなされなかったが、韓国の「K9」自走砲の対エジプト輸出に向けた協議も行われた。

(米倉大輔)

(韓国、中東、アフリカ、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エジプト)

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