韓国政府、革新型小型モジュール炉(SMR)の開発に420億円を投入、米国企業との協力も進展

(韓国、米国)

ソウル発

2022年06月07日

韓国科学技術情報通信部は6月1日、従来の大型原発と比べ経済性や安全性に優れ、脱炭素や電力の安定供給に資するとされる革新型小型モジュール炉(SMR)の技術開発事業(注)に2023年からの6年間で計3,992億ウォン(約419億1,600万円、1ウォン=約0.105円)を投じると発表した。

同事業は、1モジュールあたり170メガワット程度の炉をベースに、(1)設計のモジュール化、冷却水槽の地下格納を通じ重大事故を防止すること、(2)移送および建設が容易となる炉を設計、経済性を確保することなどを含む。計画では、2023年に課題の検討、2023年から2025年に革新技術開発および標準設計、2026年に標準設計に関連する許認可申請、2026年から2028年に検証および許認可取得の予定。

韓国の主要企業は、SMR開発への投資に乗り出している。サムスン物産と斗山エナビリティーはSMRで世界トップの米国・ニュースケール・パワーにそれぞれ7,000万ドル、合計1億4,000万ドルを出資し、SKグループはビル・ゲイツ氏がオーナーのテラパワーとの間で包括的協力のためMOU(了解覚書)を取り交わした(2022年5月25日付「ソウル経済」)。また、5月の韓米首脳会談共同声明(2022年5月24日記事参照)でも、SMRの開発を加速化することで合意するなど、前政権の「脱原発政策」からの転換を進めている。

さらに、同部はSMRの技術開発と同時に、「原発解体競争力強化技術開発事業」として、2023年から2030年までの8年間で3,482億ウォンを投じ、古里原発1号機および月城1号機の解体のための技術開発等事業を進めると発表した。

(注)事業名は「革新型小型モジュール原子炉(i-SMR)技術開発事業」。

(当間正明)

(韓国、米国)

ビジネス短信 4b72e637641923c2