米石油サービス企業マイクロ・サイズミック、CCS施設の微小地震波モニタリング技術開発に着手

(米国)

ヒューストン発

2022年06月14日

米国石油サービス企業マイクロ・サイズミック(本社:テキサス州ヒューストン)は6月8日、米国エネルギー省(DOE)の助成を得て、二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)施設で地中深くにCO2を貯留する際、圧入作業をモニタリングする微小地震波の観測・解析技術の開発プロジェクトに着手すると発表した。

同社は、これまで18年以上にわたり、主に石油ガス施設向けに微小地震波のモニタリングシステムを設置・運用している。今回のプロジェクトでは、その技術をCCS施設に応用する考えだ。同社の発表によると、DOEが公募した科学的イノベーションとクリーンエネルギー開発を進める中小企業向け総額1億ドルの拠出プロジェクトに関して、同社に対して15万3,000ドルの拠出が発表されたという。プロジェクトの第1段階では、CCS施設のモニタリングサービスを運用するためのモデリングや設計、計画、サービスを検証する試験場所の選定を行う。第2段階では、複数の微小地震センサーの設置、自動のデータ収集・遠隔測定、自動イベント検出・位置特定システムからなるプロトタイプシステムの設置が含まれるとしている

マイクロ・サイズミックのピーター・ダンカン社長兼最高経営責任者(CEO)は「今回のプロジェクトでは、産業規模のCO2貯留施設が安全に運用されるよう、微小地震波のモニタリングサービスを開発する。これにより、CCS施設のオペレーターがCO2貯留層の状態を把握し、CO2注入率などに関して、より安全で長期的な運用上の判断が可能となる」と述べている。

DOEのジェニファー・グランホルム長官は「中小企業支援により、米国のあらゆる人材を活用し、気候変動に対処するクリーンエネルギー技術の開発が可能となる」「DOEの投資により、技術開発から発展して商業化することができる」と述べている。

なお、日本財団は2022年5月6日、日本企業と海外石油ガス大手との間で2022年度に実施される連携技術開発プロジェクトのうち、「海洋石油ガス分野の脱炭素化推進に向けた連携技術開発に関する覚書」(2021年12月8日記事参照)に基づくプロジェクト17件を発表した。同プロジェクトの中には「長期海底設置型二酸化炭素貯留層のモニタリング装置の開発」が含まれており(2022年5月12日記事参照)、より安全で長期的な運用に資するCCS施設のモニタリング技術の開発ニーズの高さが示唆される。

(沖本憲司)

(米国)

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