日本財団、脱炭素などに資する日本企業と石油メジャーの2022年度連携技術開発案件を発表

(米国、日本)

ヒューストン発

2022年05月12日

日本財団は5月6日、米国ヒューストン市内で開催された海洋技術開発に関する産学会合「ディープスター(注)・テクノロジー・シンポジウム2022外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で、日本企業と石油メジャーとの間で2022年度に実施される連携技術開発プロジェクト17件をビデオメッセージで発表した(添付資料参照)。石油メジャーは深海での石油・ガスの探査・開発・生産にさまざまな課題を抱えており、昨今は脱炭素に資する技術にも関心を高めている。日本企業と石油メジャーがこうした課題を解決する技術を連携して開発し、商用化に結び付けることを目指している。

同会合は例年、ヒューストンで開催される世界最大規模の海洋開発技術会議・展示会OTCの翌日に開催されている。今回は「OTC 2022外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(2022年5月10日記事参照)が閉幕した翌日の5月6日に、米国石油大手シェブロン(本社:カリフォルニア州サンラモン)のヒューストン拠点で対面方式のみで開催された。会場には海洋石油ガス資源開発に携わる業界関係者ら約200人が参加し、日本関係者としてINPEX、三菱重工業、島津製作所、クレハ、大同特殊鋼、日産化学、日本製鉄、JFE、川崎重工業、日立造船、三井物産、商船三井、日本海事協会、日本舶用工業会、日本経済新聞、ジェトロが参加した。

今回発表されたプロジェクトは、2018年5月に日本財団とディープスターの間で締結された「海洋石油ガス分野の連携技術開発に関する覚書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に基づく案件(2018年5月18日記事参照)に加え、「海洋石油ガス分野の脱炭素化推進に向けた連携技術開発に関する覚書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に基づくものだ(2021年12月8日記事参照)。

前者の覚書に基づくプロジェクトは2022年度で3年目、後者の覚書に基づくプロジェクトは2022年度が1年目となり、今年度についてはいずれも2022年6月開始を予定している。ジェトロは覚書締結段階からこのプロジェクトに携わり、これまで日本財団とディープスターの連携技術開発案件の組成や、各プロジェクトのパートナーとなる日本企業とディープスターの契約締結支援、ウェブ会議を通じたプロジェクトの進捗管理などを通じて、採択された日本企業を積極的に支援している。

日本企業がディープスターの枠組みを利用して石油メジャーと連携技術開発を行う場合、日本財団から研究開発費とディープスター管理費(研究開発費の総額10%:ディープスターへ支払い)の合計額の80%の補助を受けることができる。助成金額の上限は、第1事業期間(1年目)では1件当たり最大2,000万円程度で、第1事業期間中の成果などを評価した審査を通過すると、第2事業期間(2~3年目)では最長2年間で1件当たり最大1億円程度とされている。

写真 2022年度の連携技術開発プロジェクトを発表する日本財団の海野光行常務理事(ジェトロ撮影)

2022年度の連携技術開発プロジェクトを発表する日本財団の海野光行常務理事(ジェトロ撮影)

(注)ディープスターとは、上流企業と呼ばれるシェブロン(米国)、ロイヤル・ダッチ・シェル(英国・オランダ)、ペトロブラス(ブラジル)など、世界中の海洋石油・天然ガスの探査・開発・生産を担う企業や、これら企業に製品・サービスを提供する企業、大学、研究機関などから成る海洋技術開発のコンソーシアム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。1991年設立。

(沖本憲司)

(米国、日本)

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