商業省が地域貿易協定締結に向けた政策発表

(バングラデシュ)

ダッカ発

2022年06月17日

バングラデシュ商業省(MOC)は13日、地域貿易協定(Regional Trade Agreement、 RTA)締結に向けた政策(RTA Policy, 2022)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表し、即時発効した。同政策は、2026年に予定されている後発開発途上国(LDC)卒業(2021年12月6日記事参照)に伴うLDC向けの関税優遇措置の撤廃、政府が目指す2031年までの上位中所得国(注)入りに向けた、2国間または多国間貿易協定への参画に係わる方針と、交渉入りの検討・開始から協定締結、その実行・評価までの具体的なプロセスを明確化することなどを目的に策定した。

具体的には、RTA締結国の選定と優先順位付けに係わるガイドラインとして、「地理的な近接性・連結性、外交関係、地政学的な重要性などの観点から、近隣の経済圏・国を優先」「貿易拡大に向けた、他の国々の市場へのゲートウエーとなる」「市場アクセスと輸出品の多角化の観点から、重要な貿易相手国」「現在、バングラデシュが関税優遇措置を受けている国」など9項目を規定した。なお、同政策で締結候補となる具体的な国名や協定については言及されていない。

また、RTAの交渉範囲としては、主に関税の削減、非関税障壁の撤廃、原産地証明、税関関係などを含む物品貿易、産業別ニーズに応じたサービス貿易と投資分野、知的財産権、労働問題、Eコマース・デジタル貿易などが挙げられた。交渉に際しては、貿易交渉委員会(TNC)を組織し、政府(関連省庁や政治家)や民間、シンクタンク、学界のステークホルダーとの適時の協議などの実施を明記した。

バングラデシュは2020年12月のブータンとの特恵貿易協定の締結(2020年12月21日記事参照)以降、2国間・多国間の貿易協定の締結に至っておらず、今後の検討や交渉の行方には日系企業関係者からの関心も高い。今般の政策発表により、今後の通商動向が一層注目される。

(注)世界銀行は、1人当たり国民総所得(GNI)が1,036ドル未満の国を低所得国、1,036ドルから4,045ドルまでを下位中所得国、4,046ドルから1万2,535ドルまでを上位中所得国、1万2,535ドル超を高所得国としている。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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