バイデン米大統領、連邦ガソリン税の一時停止を議会に要請、9月末まで

(米国)

ニューヨーク発

2022年06月23日

米国のジョー・バイデン大統領は6月22日、連邦ガソリン税を9月までの3カ月間停止する立法措置を取るよう議会に要請外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。米国では税や予算に関する措置を取る権限は議会が有しており、同税の一時停止には議会の承認が必要となる。

22日時点で全米の平均ガソリン価格は1ガロン(約3.8リットル)4.96ドルと、1年前の平均価格の3.07ドルから6割強値上がりしている。この状況に対し、バイデン政権はこれまで石油戦略備蓄の市場放出(2022年4月1日記事参照)や、エタノール混合ガソリンの夏季販売解禁(2022年4月13日記事参照)といった対策を取ってきたが、今回の新たな要請について、バイデン大統領は「(同措置は)ガソリン価格を下げ、家庭にほんの少しの余裕をもたらすことができる」と述べている。

ただし、バイデン大統領が「ほんの少し」と述べているように、連邦ガソリン税が価格に占める割合は1ガロン18セントにすぎず、約5ドルという現在の価格水準を踏まえると、その相対的効果は小さい。また、米国内の製油所はメキシコ湾周辺などの南部に集中しており、そこから離れた地域への供給時輸送費がかさむことなどから、西部などのガソリン価格は全国平均よりも高い傾向にあり、カリフォルニア州では6ドルを超えている。さらに、州・地方政府が独自のガソリン税を課す地域も多いため、バイデン大統領は今回の要請に併せて、州・地方政府にも独自のガソリン税の一時停止といった措置を求めた。ニューヨーク州では1ガロン16セントの課税を12月31日まで停止しているなど、既にこうした軽減措置を行っている州も多く、バイデン政権はこのような動きがさらに広がることを期待するとしている。

他方、議会が今回のバイデン大統領の要請に応じるかは不透明だ。大統領も批判しているように、政権が要請する原油増産に石油会社は応じず、価格上昇により多額の利益を得ているなどとして(2022年6月17日記事参照)、民主党のナンシー・ペロシ下院議長(カリフォルニア州)などは今回の一時停止措置に否定的なスタンスを表明している(ロイター、6月22日)。また、今回の一時停止措置で連邦ガソリン税を原資に運営する高速道路運営基金に100億ドルの損失が生じるとされており、インフラ修繕に支障が生じるなどといった声もある。こうした懸念の声に対して、ジエネルギー省のジェニファー・グランホルム長官が製油所の生産能力増加の具体策について、石油会社などと今週中に協議を行うとしているほか、高速道路基金の歳入不足の発生については、新型コロナウイルス感染拡大による影響からの経済回復により、2022会計年度は既に1兆6,000億ドルの財政赤字削減を見込んでおり、他の余剰収入で損失分を十分に賄えるとしている。

(宮野慶太)

(米国)

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