米EVセーフチャージ、EV用ロボット充電器「ジギー」を発表

(米国)

サンフランシスコ発

2022年06月16日

電気自動車(EV)の充電機器を開発する米国EVセーフチャージ(本社:カリフォルニア州ロサンゼルス)は6月14日、電気自動車(EV)用ロボット充電器の「ジギー」を発表した。ジギーは、車両を充電するために、設置された場所(ホームベース)から自動で駐車スペースまで移動することから、充電器を設置するために特定の駐車スペースを確保する必要がない。同社は、ショッピングモール、ホテル、アパートなどの駐車場への導入を想定している。サンフランシスコ・ベイエリアにおいて、同充電器はレッドウッドシティにあるホテル(ホリデイ・イン・エクスプレス)やサンフランシスコの商業ビル(オペラ・プラザ)に導入される予定となっている。

ジギーは、スマートフォンまたはEVのディスプレーに表示されるアプリからアクセスすると、車両が指定の駐車場に到着する前に自動で移動し、駐車スペースを確保する。その後、当該車両が到着すると、ジギーは車両の後部に移動してプラグイン式充電を開始できる流れだ。充電が完了次第、自らホームベースに戻っていく。ジギーを設置する施設は、利用者が充電の料金を支払うか、施設側で料金を負担するかを選択できる。EVセーフチャージは、2023年からジギーの生産を開始する予定で、現在予約を受け付けているほか、テクニカルサポートやメンテナンスを含むリースでも提供する。ジギーの充電料金は明らかにされていないが、生産初年度に充電の電圧および速度をレベル2からレベル3(注)に向上させることを目指している(「エレクトレック」6月14日)。同社のカラドック・エレンホルト創業者兼最高経営責任者(CEO)は公式発表の中で、「ジギーはEV普及の障壁の1つである充電に対する不安を克服することで、全ての人々のEVの充電体験を向上させる」と述べている。

カリフォルニア州では、2035年までに販売する新車を全てゼロエミッション車(ZEV)にするという目標を掲げているが、充電インフラの供給不足が課題になっている(2021年9月14日付地域・分析レポート参照)。同州のEV充電施設数は、2022年3月31日時点で7万9,023カ所。2021年末時点と比較して変化はない。

(注)レベル2は208~214ボルトの交流電流で、プラグインハイブリッド車の走行距離に換算すると、1時間当たり14~35マイル(約22.5キロ~56.3キロ)の充電が可能。レベル3(DC高速充電)は408ボルトの直流電流で、約30分で全バッテリー式EVを80%充電可能。

(田中三保子)

(米国)

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