2021年の世界の直接投資額は64%増、M&Aや再投資収益が増加、UNCTAD報告

(世界)

国際経済課

2022年06月15日

国連貿易開発会議(UNCTAD)が6月9日に発表した報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2021年の世界の対内直接投資額は前年比64.3%増の1兆5,823億ドルで、前年からの増加分のうち約4分の3は先進国・地域に集中した(添付資料表参照、2022年6月13日記事参照)。先進国・地域の対内直接投資額は前年の2倍超の7,457億ドルへと拡大。先進国・地域の中では、北米が前年比2.5倍、欧州が2.7倍となった。クロスボーダーM&Aの増加に加え、需要回復などで収益が改善した多国籍企業による内部留保の増加、すなわち再投資収益の拡大が全体を押し上げた。

新興・途上国・地域向けの投資は前年比29.9%増(8,366億ドル)と回復は緩やかだ。増加分は主に投資額で群を抜くアジア向け投資(19.3%増、6,190億ドル)の増加によるもので、中南米(1,345億ドル)、アフリカ(830億ドル)はそれぞれ56.0%増、2.1倍と前年から大幅に伸びたものの、全体に占める構成比の小ささから寄与度はアジアに比べて低かった。

主要国・地域別にみると、世界の対内直接投資の最大の受け入れ国である米国向けの直接投資額は前年比2.4倍の3,674億ドルで、2015年、2016年に次いで過去3番目に高い水準を記録。サービス分野を中心に活況を呈したM&Aや再投資収益の増加が寄与した。一方、EU向けは同34.4%減で、アイルランド(80.6%減)やドイツ(51.6%減)などでの減少が地域全体の伸びを押し下げた。

新興国・地域向けでは、中国でサービス産業やハイテク産業向けの投資が好調で、前年比21.2%増だった。香港は再投資収益の増加により4.4%増、シンガポール向けはM&A投資が増加して31.4%増となった。一方、インド向けは大型投資案件のあった前年と比べ30.2%減となった。

(森詩織)

(世界)

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