政府、「民間中心の力強い経済」を目指す
(韓国)
ソウル発
2022年06月24日
韓国企画財政部が6月16日に公表した「新政権の経済政策方向」(2022年6月21日記事参照)の4つの柱のうちから、企業活動に関する内容を含む「民間中心の力強い経済」構築のための主な施策を次のとおり紹介する。
1.規制改革と企業活力の向上
大胆な規制改革を通じ、民間セクターの投資を活性化する環境を創出する。
(1)強力な規制革新ガバナンス構築のため、関係省庁の閣僚級で構成する「経済規制革新タスクフォース」を新設する。
(2)過度な規制の防止のため、「規制日没制」(注)の実効性向上や規制改廃の際の影響分析を徹底する。
(3)共管規制の統廃合や地方への移譲など、革新的な規制緩和策を導入する。
(4)市場支配的事業者の基準の引き上げや企業規模などに応じた差別的規制を合理化し、時代遅れの古い規制を見直す。
2.企業の投資拡大・雇用創出
税負担の合理的な調整、投資・雇用インセンティブの拡大を通じ、民間の創意工夫を最大限生かす。
(1)法人税の最高税率を25%から22%に引き下げ、繰越欠損金の控除上限を80%に引き上げるなど税負担を軽減する。
(2)家業の相続控除対象企業の売上高基準を4,000万ウォン(約400万円、1ウォン=約0.1円)から1億ウォンに引き上げ、家業継承を活性化させる。
(3)重大災害処罰法や公正取引法を見直し、法令の不確実性を解消する。
(4)国家戦略技術など、投資・雇用創出にかかるインセンティブを拡大する。
3.中小・ベンチャー企業の育成
中小・ベンチャー企業が中心となる成長モデルをバックアップする。
(1)存続企業への支援が中心だった従来の支援体制から、企業の成長力・競争力の向上などに重点を置いた支援に移行し、中小企業の自主的成長、革新基盤を構築する。
(2)創業からグローバルユニコーン企業の育成に至るまで、ダイナミックなベンチャーエコシステムを構築する。
4.公正な市場秩序の確立
規制・負担の緩和、不公正行為への取り締まりを強化することで、自由かつ公正な市場経済秩序を確立する。
(1)技術流出など不正行為への厳しい取り締まりを行い、競争を制限する規制を改善する。
(2)価格の適正な転嫁のための納品単価連動性やプラットフォーム経済、下請取引の公正取引のためのシステムを構築する。
これらの施策のうち、特に注目されるのが法人税の最高税率の引き下げだ。法人税の最高税率は文在寅(ムン・ジェイン)前政権時に22%から25%に引き上げられており、現在の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の政権はそれを元に戻すかたちとなる。前政権の政策を大きく変更したことを示す象徴的な施策といえよう。
(注)ある規制に関し一定期間が経過すると自動的に無効となる制度。
(当間正明)
(韓国)
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