2021年の東南アジア投資は半導体投資などで大幅増、南アジアは不振

(シンガポール、マレーシア、インド、バングラデシュ)

アジア大洋州課

2022年06月21日

国連貿易開発会議(UNCTAD)は6月9日に2021年の世界対内投資額を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(2022年6月15日記事参照)。

東南アジア向け投資は、ほとんどの国で増加したこともあり、前年比43.6%増の1,753億ドルと好調に増加した。世界投資総額に占める構成比は11.1%だった。投資の中では、製造業、デジタル関連、インフラ向け投資が目立った。同地域の中で、最大の投資受け入れ国はシンガポール(991億ドル、31.4%増)で、クロスボーダーM&Aが寄与した。企業がゼロから立ち上げるグリーンフィールド投資でも、アラブ首長国連邦(UAE)の政府系企業傘下の半導体受託生産会社グローバルファンドリーズが40億ドルを投じて、同国に半導体工場を新設する計画などがみられた。世界的な半導体需要がASEANへの投資を活発にしている。マレーシア向けは3.7倍の116億ドルと急増した。同国で発表された大型のグリーンフィールド投資計画は全て半導体関連だった。中国のライセン・ソーラー・テクノロジーによる100億ドル、インテルによる70億ドルといった投資計画が挙げられる。

東南アジア向け投資が好調だった半面、南アジア地域は26.1%減の524億ドルと、主要地域の中では唯一、対内直接投資が減少した。世界投資総額に占める構成比は3.3%だった。同地域向け投資の大半を占めるインド向け投資が前年の26.7%増から2021年は30.2%減の447億ドルと大きく減少したことが響いた。しかし、インドでは2021年に108件の国際プロジェクトファイナンス案件が発表されるなど、市場としての潜在性は引き続き大きい。インド投資案件としては、日本製鉄が出資するインドの鉄鋼大手アルセロール・ミタル・ニッポンスチールによる135億ドルの鉄鋼・セメント工場の建設や、スズキによる24億ドルの自動車生産施設の建設などがあった。南アジアで2番目に投資受け入れ額が大きい国はバングラデシュで、12.9%増の29億ドルだった。

(新田浩之)

(シンガポール、マレーシア、インド、バングラデシュ)

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