ドイツ産業界、2035年までの全新車ゼロエミッション化に反対

(ドイツ、EU)

ミュンヘン発

2022年06月13日

欧州議会は6月8日、乗用車と小型商用車(バン)の二酸化炭素(CO2)排出基準に関する規則の改正案について、欧州議会としての修正案となる「立場」を採択した(2022年6月10日記事参照)が、ドイツの業界団体や州政府は採択日の前後にそれぞれのスタンスを発表した。

ドイツ自動車産業連合会(VDA)は採択前日の7日のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、ドイツの自動車産業はEUが掲げる2050年の気候中立達成目標を支持するとした上で、電動車の普及加速には、EU域内で充電インフラの整備をさらに進めることが必要とした。CO2排出基準規則の改正案については、全新車ゼロエミッション化達成目標年を2035年に固定するのは時期尚早であり、2028年に詳細なレビューをし、特に充電インフラの普及状況などを見た上で、2030年以降の目標を決定すべきとした。また、電動車の一部原材料の供給状況なども考慮し、2035年以降も合成燃料などカーボンニュートラル達成に貢献する全ての技術を堅持すべきで、内燃機関搭載車の一律禁止には反対した。

ドイツ産業連盟(BDI)は採択当日の8日のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、(1)2035年のCO2排出量削減目標を90%(対2021年比)に引き下げることで、雇用減少や付加価値創出の減少が抑えられる、(2)内燃機関搭載車の実質禁止を意味する2035年のCO2排出量100%削減の目標に反対、(3)電動車の普及加速には、EU排出量取引制度(EU ETS)の道路輸送への適用拡大(2021年7月16日記事参照)に加え、充電施設の拡充が必要とした。

一方、ドイツ機械工業連盟(VDMA)は9日のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「欧州議会の採択は、EUの産業競争力・持続可能性にとって悪いニュース」とした上で、内燃機関技術に関するEUの優位性を下げるだけでなく、大きな可能性を持った持続可能性に寄与する技術の選択肢を手放すことになるとした。また、電動車に必要なニッケルやコバルト、マグネシウムなどのレアメタルはロシアや中国に依存しており、内燃機関搭載車の禁止は、欧州にとって地政学的リスクにもなるとした。合成燃料などの気候中立な燃料を考慮するメカニズムが入らなかったのは、特に残念とした。

BMWやアウディの本社・工場が所在するなど自動車産業が集積するバイエルン州のフーベルト・アイバンガー経済・開発・エネルギー相は9日のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、欧州議会による今回の採択について、イデオロギー的なもので現実的ではないとした。また、今回の採択により、内燃機関搭載車の開発や製造が徐々にドイツ国外に移転する危険が高まったと批判した。

(高塚一)

(ドイツ、EU)

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