物流事業者のストライキが終了、6月15日から正常化

(韓国)

ソウル発

2022年06月15日

韓国国土交通部は6月14日夜、貨物連帯本部との安全運賃制の延長・拡大に関する交渉が妥結し、同日をもって貨物連帯組合員(物流事業者など)のストライキが終了したと発表した。同部は、貨物連帯が求めていた安全運賃制の補償対象の拡大について検討を行うとともに、原油高への対応として「油価格連動補助金」の拡大について検討することとした(2022年6月14日記事参照)。

同部によれば、6月14日の時点で貨物連帯組合員の31%に当たる6,840人が全国14地域で集会を行っていた。港湾などで蔵置率(注)が72.7%と、平時の65.8%に比べ上昇し、釜山(プサン)や蔚山(ウルサン)など一部の港湾において局地的に輸送を妨害する行為が発生し、搬出入量は通常の3割~4割の水準となっていた。

特に、鉄鋼、タイヤ、セメント、石油化学などの主要産業において出荷が停滞していた。セメント業界の場合、生産工場では出荷停止によりサイロの保管能力が限界に近づき、一部の生コン工場は稼働を停止せざるを得ない状況となった。韓国セメント協会によれば、6月13日のセメント出荷量は2万3,700トンと、ピークシーズンの平日の出荷量の13%にとどまっていた(「ニューシス」6月14日)。さらに、貨物連帯本部は、合意前の時点で半導体原料メーカーのLSニッコー銅製錬や高麗亜鉛の物流を、ストライキの標的とする指針を組合員に伝えていた。そのため、半導体業界では生産に支障が生じかねない、との憂慮も出ていた(「韓国経済」6月14日)。

今回の交渉妥結について、ウォン・ヒリョン国土交通部長官は「物流の正常化に最善を尽くしてほしい」と訴え、ストライキ期間中も通常とおり業務に専念した物流業者などに対し、謝意を述べた。

(注)コンテナヤードにコンテナが積まれている比率。

(当間正明)

(韓国)

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