5月の製造業PMI、前月より2.2ポイント上昇も、依然50を下回る

(中国)

中国北アジア課

2022年06月07日

中国国家統計局と中国物流購買連合会が5月31日に発表した5月の製造業購買担当者指数(PMI)は、前月よりも2.2ポイント上昇の49.6と50の境界に迫ったが、3カ月連続で50を下回った(添付資料図1参照)。新型コロナウイルス感染拡大を受けて、上海市が3月28日から市内を東部(浦東、浦南地区、周辺地域)と西部(浦西地区)に分けて2段階で封鎖、その後全市を封鎖管理下に置いたこと(2022年4月15日付地域・分析レポート2022年5月11日付地域・分析レポート)などもあり、4月のPMIは47.4と悪化し、新型コロナ拡大初期の2020年2月(35.7)以来の低水準となっていた。

国家統計局サービス業調査中心の趙慶河高級統計師は同日、5月のPMIは50を下回ったものの、前月より明らかに改善した点を指摘しつつ、「最近の新型コロナ情勢や国際情勢の変化などは中国経済に比較的大きな影響を及ぼしているが、感染拡大防止や社会・経済の発展を統一的かつ高効率で推進している成果が表れてきており、4月に比べて景気は幾分か回復した」との見解を示した。

PMIを構成する指数では、生産が4月より5.3ポイント上昇の49.7、新規受注が5.6ポイント上昇の48.2、サプライヤー配送時間が6.9ポイント上昇の44.1などと改善したが、円滑な物流の回復には至っていない。また、PMI関連指数では、新規輸出受注が46.2、輸入が45.1などと力強さを欠いている。

企業規模別でみたPMIは、大型企業、中型企業、小型企業でそれぞれ51.0、49.4、46.7と、大型企業のみ50を超えた(4月よりそれぞれ2.9ポイント、1.9ポイント、1.1ポイント上昇、添付資料図2参照)。中型企業は2022年3月以降、小型企業は2021年5月以降一貫して50を下回っている。中国政府は中小・零細企業の支援を強化する方針を打ち出しているが(2022年5月12日記事2022年6月2日記事参照)、こうした政策が今後これら企業のマインド改善につながるかが注目される。

非製造業のビジネス活動指数は47.8で、4月(41.9)よりは回復したものの、2022年3月以降3カ月連続で50を下回った。

(宗金建志)

(中国)

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