衛生当局、やみくもなPCR検査範囲の拡大は避けるべきと表明

(中国)

北京発

2022年06月13日

中国国家衛生健康委員会疾病予防コントロール局の責任者は6月9日、PCR検査の対象範囲や頻度は新型コロナウイルス感染拡大の防止抑制ニーズに基づいて科学的に決定すべきであり、全員PCR検査の対象範囲をやみくもに拡大することは避けるべきと表明した。PCR検査は高リスク集団や高リスクな業務の従事者に対して重点的に行い、低リスク地域や低リスク集団、長期間在宅している人に対しては頻繁に検査を行う必要はないと述べた。

同責任者は、封鎖区域(「封控区」)は必ず24時間以内に、管理区域(「管控区」)では48時間以内に最初の全員PCR検査を完了しなければならず、中・高リスク地域や封控区、管控区の人員は外出してはならず、低リスク地域や警戒区域(「防範区」)で外出の必要がある場合は48時間以内のPCR検査陰性証明を携帯する必要があるとの原則を示した(注)。その上で、各地方は新型コロナウイルス感染防止・抑制のニーズに基づいて措置を調整することができると述べた。感染拡大が発生しておらず、感染流入のリスクもない場合には、PCR検査陰性証明のチェックを常態化すべきではないとの認識も示した。

また、各都市において徒歩15分圏内でPCR検査を受けられるようにするという構想について、国家衛生健康委員会医政医管局の責任者は、出入国検査地点のある都市、省政府所在都市や人口が1,000万人規模の都市のような感染流入リスクが比較的高い都市で、感染拡大のモニタリングアラートの精度を高めるために整備するものと説明した。その上で、徒歩15分圏内でPCR検査を受けられる体制を整備するか否かや、PCR検査の頻度については、各地方での感染拡大の発生や進展の状況と防止抑制の取り組みのニーズに基づいて、時と場合に応じて決定すべきで、一律の対応を取るべきではないと表明した。

なお、国家衛生健康委員会は6月5日、各地方政府に対して、防疫措置の単純化や画一化、追加的措置を取ることなどを断固防止し、封鎖管理期間や隔離、健康観察の期間を恣意的に延長してはならないなど「9つの禁止事項」を徹底するよう求めている(2022年6月6日記事参照)。

(注)「封控区」「管控区」の規制内容は以下のとおり。規制内容は地域によって異なる場合がある。また、これ以外に「臨時管理区域」など、複数の小区を含むより広域のエリアも設定される場合がある。

  • 「封控区」:マンションなどの自宅から出ることができない。
  • 「管控区」:自宅から出ることはできるが、外出範囲は小区(住宅エリア)内のみに限られる。人が集まることは禁止される。

(小宮昇平)

(中国)

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