政策金利据え置きも、年後半に利上げの予想
(インドネシア)
ジャカルタ発
2022年06月29日
インドネシア中央銀行は6月23日、2日間にわたる理事会での議論の結果、政策金利の7日物リバースレレポ金利を3.5%で維持すると発表した。政策金利は2021年2月の引き下げ以降、17カ月連続の据え置きとなった(2021年2月24日記事参照)。併せて、預金ファシリティーレート、貸付ファシリティーレートもそれぞれ2.75%、4.25%で維持された。
ロシアによるウクライナへの侵攻や中国のゼロコロナ政策など、複合的な要因により世界の多くの国でインフレ率が上昇している。それに伴い、東南アジア諸国の一部の中央銀行が金融引き締めのために利上げを行うなか、インドネシアの動向が注目されていた(2022年6月24日付地域・分析レポート参照)。インドネシア中央銀行は本決定の理由を、「複数国におけるスタグフレーション(注1)のリスクにより外圧が高まる中で、継続的な経済成長を促しながら、インフレ率と為替レートを安定させるため」と説明した。同行によると、2022年5月時点の同国のインフレ率は、前年同月比3.55%、前月比で0.4%上昇しているが、コアインフレ率(注2)は、前年同月比2.58%と抑えられている。同行は「今後、コアインフレ率に上昇の兆しが見られた場合には、金利を調整する用意がある」としている。
インドネシア商工会議所(KADIN)の副会頭シンタ・カムダニ氏は「本決定は、経済回復と同時に、人々の購買力を維持するという、民間企業の希望に沿ったものだ」と述べた(「ビスニス」6月24日)。
2022年後半の利上げ予想も
CGS-CIMB証券エコノミストのリム・イー・ピン氏は「最初の利上げは早ければ2022年8月に実施され、年末までに25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)ずつ3回利上げを行い、最終的に金利は4.25%まで引き上げられる」と予測している(「テンポ」6月26日)。また、「ロイター」は、同社が複数のエコノミストに対して行ったアンケート結果の中央値として、「2022年第3四半期(7~9月)に利上げが開始され、同期末までに金利は4.00%になる」と報道した(「ロイター」6月21日)。
(注1)不況であるにもかかわらず、物価が上がり続ける状態のこと。
(注2)価格変動が大きい農産品やエネルギー価格などを除いた価格の指数。
(上野渉)
(インドネシア)
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