世界銀行、バングラデシュの2022年の郷里送金伸び率は2%に低下の可能性

(バングラデシュ、インド、スリランカ、パキスタン)

アジア大洋州課

2022年06月02日

世界銀行は5月11日、報告書「移住開発ブリーフ36(Migration and Development Brief):「パンデミックにおける戦争 - ウクライナ危機と新型コロナが移民と送金フローのグローバルガバナンスに与える影響」」を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。同報告書によると、バングラデシュは、2021年の世界の低・中所得送金受け入れ国の上位10カ国中7位(注1)、南アジア8カ国(注2)中では、インド、パキスタンに次いで3位だった。同年のバングラデシュの海外出稼ぎ労働者による郷里送金額は前年比2.2%増の222億ドルだった(注3)。送金の伸長要因は主に、政府によるインセンティブ(出稼ぎ労働者による正規ルートの送金を促進するため、政府が送金額の2%相当の現金を送金の受取人に付与)と、バングラデシュに住む家族への支援によるものとしている(2022年1月5日記事参照)。2021/2022年度(2021年7月~2022年6月)の4月までの同国への送金額は173億ドルで、ラマダン開始月の2022年3月に24.4%急増したものの、過去8カ月(2021年7月~2022年2月)連続で鈍化していた(2022年2月9日記事参照)。また、4月を除く各月の送金額は20億ドル未満だった(添付資料表参照)。そのため、2022年の送金の伸び率は2%にとどまる可能性を指摘している。

同報告書では、南アジア地域への送金については、以下のとおり言及している。

  • 南アジアへの送金は、2021年に6.9%増の1,570億ドルだった。同送金はエリア内の主要外貨取得源で、2021年のFDI(海外直接投資額)の3倍以上の収入に相当する。2022年の同送金の伸び率は4.4%に減速すると予想。
  • 新型コロナウイルスのパンデミックにより、2020年初頭には多くの南アジア系海外出稼ぎ労働者が母国に戻った。しかし、ワクチン接種が可能になったことや、湾岸協力理事会(GCC:Gulf Cooperation Council、注4)経済の開放により、2021年には海外出稼ぎ労働者受け入れ国への段階的な復帰が実現し、送金フローを支えた。
  • 2021年のインドとパキスタンへの送金額は、それぞれ8%(890億ドル)、20%(310億ドル)増加した。米国の景気回復、財政刺激策、高い雇用率といった経済パフォーマンスの改善がインドへの送金増加に大きく寄与したという。パキスタンへの送金は、同国へ避難したアフガニスタン難民向けが主因。スリランカ向けは経済不安が激化し23%に急減した(55億ドル)。
  • 南アジア地域から多くの海外出稼ぎ労働者を受け入れている中東諸国からの送金も、2021年の送金実績に貢献した(2022年2月9日記事参照)。
  • 米国にいる多くの南アジア出身者が高所得者のため、高いインフレ率にもかかわらず、2022年にはより多額の送金を行う可能性が高いと予測。一方で、世界経済の不確実な状況や、米国の成長減速の可能性に伴い、同年のインドへの送金伸び率は5%増と予想。パキスタンへの送金は8%増(340億ドル)、スリランカはさらに10%減少すると見通している。

(注1)送金受け入れ国の上位6カ国は、インド、メキシコ、中国、フィリピン、エジプト、パキスタン。

(注2)世界銀行の区分では、アフガニスタン、インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、ブータン、モルディブの8カ国を指す。

(注3)バングラデシュ中央銀行(CBB)の統計によると、2020/2021年度(2020年7月~2021年6月)の同国への送金総額は248億ドル。

(注4)1981年にサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、オマーン、カタール、クウェートの6カ国によって設立。本部(事務局)はサウジアラビアの首都リヤドに所在。安全保障や経済をはじめとするあらゆる分野での参加国間の調整、統合、連携を目的としている。

(寺島かほる)

(バングラデシュ、インド、スリランカ、パキスタン)

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