韓国政府、「緊急経済閣僚会議」を開催、追加の物価対策を策定

(韓国)

ソウル発

2022年06月28日

韓国の企画財政部は6月19日、チュ・ギョンホ経済副総理兼企画財政部長官主宰の第1回「緊急経済閣僚会議」を開催し、前政権の物価対策を継承しつつ、当面の追加物価高騰対策を以下のとおり取りまとめた(2022年5月11日記事参照)。

1.公共料金

(1)2022年下期の道路通行料・鉄道運賃・郵便料金・上下水道料金など中央、地方の公共料金は凍結を原則とする。

(2)電気・ガス料金は、世界的なエネルギー価格の高騰により生産原価の負担が増している中、企業の経営効率化を前提として引き上げ幅を最小化する。

2.石油類

(1)油類税の引き下げ幅を7月から年末にかけて法律上の最大限度である37%まで拡大し、小売価格に反映する。

(2)貨物・運送業界の油類コスト負担を軽減するため、軽油の油価連動補助金の支援の基準価格(注1)を1リットル当たり1,750ウォン(約175円、1ウォン=約0.1円)から1,700ウォンに引き下げる。

(3)国内線向け航空燃料に関税割当を適用し、8月から12月まで関税を3%から0%に引き下げ、利用者のサーチャージを最小化する。

(4)公共交通機関の利用促進のため、クレジットカードで支払った公共交通機関料金の所得控除率を40%から80%(限度100万ウォン)に引き上げる。

3.農畜水産物

(1)価格が不安定なジャガイモ、タマネギ、ニンニクなどは政府備蓄を放出し、市場への供給を拡大する(注2)。

(2)ジャガイモなど不足する農産物は、韓国の農水産食品流通公社(aT)を通じ、緊急輸入を検討する。

(3)豚肉の関税割当枠について、割当枠の5万トンを早急に輸入するともに、さらに5万トンの割当枠追加を推進する。

(4)スケソウダラの価格安定のため、中小の加工事業者向けに原料購入資金の融資(200億ウォン規模)を行う。

(5)漁業者向けの油価連動補助金(注3)を交付し、生産原価の軽減につなげる。

(6)小麦粉の価格安定支援事業を7月から開始する(注4)。

(注1)基準価格の超過分の50%を政府が支援する制度。

(注2)タマネギは6月3日以降、1日60トンを放出、ジャガイモは368万トンを6月15日から7月5日にかけて、1日20トンを放出。

(注3)基準価格は1リットル当たり1,100ウォン、6月1日~10月31日の時限措置。

(注4)小麦粉の価格引き上げ幅を10%以下に抑制した企業を対象に一定の支援を行う。

(当間正明)

(韓国)

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