ムーディーズ、ラオスの格付けを「Caa3」に引き下げ

(ラオス)

ビエンチャン発

2022年06月22日

米国の格付け会社ムーディーズは6月14日、ラオス政府の長期の現地通貨建ておよび外貨建て債務の発行体格付けを「Caa2」から「Caa3」に引き下げ、見通しを「安定的」に変更した(注)。なお、同社は2020年8月に、格付けを「B3」から「Caa2」へ引き下げ、見通しを「ネガティブ」としていた。

同レポートによると、ラオス政府は2022年に11億ドル、2023年に14億ドルの対外債務返済を控えている。公的債務残高は2021年にGDP比で81%に達し、2022年に87.9%とピークを迎えると推計し、高い債務返済リスクを抱えていると指摘した。また、必要な資金の調達は、タイ市場での国債発行や、商業銀行からの融資、2カ国間の融資再交渉などの限られた手段に依存している。さらに、近年、国内市場からの資金調達を増やしてきたが、国内銀行の追加資金供給能力が限られている。加えて、現地通貨キープ安や高インフレ(2022年6月15日記事参照)の進行は、外貨建て債務返済コストを上昇させていると指摘している。

他方、今回の見通しを「安定的」とした根拠として、ラオスの債務不履行リスクは依然として高いが、「Caa3」格付けとしての水準を維持するためと説明した。景気は穏やかな回復基調にあり、GDP成長率は2022年に3.9%、2023年には4.3%に拡大する見通しで、債務負担の安定化を支えるものと指摘している。

国内外での新たな資金調達の動きも

こうした中、ラオス政府は、満期を迎える債務の借り換えを目的に、2022年3月、タイ・バーツ建ての国債を販売、新たに資金を調達している(2022年4月6日記事参照)。また、ラオス中央銀行も6月15日から総額5兆キープ(約458億円、1キープ=約0.0092円)の貯蓄債券(6カ月物、年利20%)の発行を開始した。これは、2022年のGDP(計画値)の2.6%、国家歳入(計画値)の15.8%に相当する。

(注)ムーディーズのグローバル・スケール長期格付けでは、Aaa、Aa、A、Baa、Ba、B、Caa、Ca、Cの9段階の格付けを行っている。Aaaは信用力が最も高く、信用リスクが最低水準な債務、Bを投機的で信用リスクが高い債務、Caaは投機的で安全性が低く信用リスクが極めて高い債務としている。また、AaからCaaまでの格付けには1、2、3の数字を付加し、それぞれ文字格付け中の上位、中位、下位にあることを示す。また、見通しが「安定的」ということは、中期的に格付けが変更される可能性は低いことを示唆する。

(山田健一郎)

(ラオス)

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