ラオス、50億バーツの国債をタイで発行

(ラオス、タイ)

ビエンチャン発

2022年04月06日

ラオス財務省は3月28~30日、タイのKTBST証券など証券会社7社を介して、無担保バーツ建て国債の販売を行った(注1)。満期は3年と4年で、それぞれ5.8%、6.4%の固定金利。今回は機関投資家や富裕層を対象に合計50億バーツ(約185億円、1バーツ=約3.7円)を発行の上限とした。今回のタイでのバーツ建て国債発行は、満期を迎えた債務の借り換えや、ラオス国内のインフラ開発投資の原資とする計画。ラオスが国債をタイ国内で発行するのは今回で8回目で、このうちバーツ建ての発行は7回、ドル建ては1回だ(添付資料表参照)。ラオスは2013年以降、公的資金調達のため、タイの証券市場でバーツやドル建ての国債を定期的に発行している。

タイの格付け機関トリスレーティング(Tris Rating)による2月17日付のラオスソブリン債の信用情報レポートによると、ラオスは高い成長性や政治的安定に加え、生産性の高いインフラ資産への投資により、長期的に安定した歳入源を確保できると期待される(注2)。他方、中期的には財政面の継続的な脆弱(ぜいじゃく)性などが課題となっていると指摘。ラオス国債の格付けを「BBBマイナス」に、見通しを「ネガティブ」に据え置いた。特に、対外債務残高の増加や、現地通貨キープの下落、財政赤字は引き続き負担となっているとした。また、2021年後半に発生した新型コロナウイルス感染の再流行により、民間消費とサービス産業の回復が遅れており、同年のGDP成長率は3.5%にとどまったと分析した。しかし、財政赤字の縮小や、外貨準備高の維持、外国直接投資の流入、経常収支の改善などの明るい材料もあると指摘している。

(注1)国債発行の内容はタイ証券取引委員会ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(注2)ソブリン債とは、政府や政府機関が発行/保証する債券の総称。

(山田健一郎)

(ラオス、タイ)

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