グリーン水素を空港オペレーションに導入

(チリ)

サンティアゴ発

2022年06月13日

チリのサンティアゴ国際空港は6月7日、公式のツイッターアカウントやYouTubeチャンネルを通じて、同空港内で使用される地上支援車両の燃料にグリーン水素を導入するプロジェクトを発表した。本プロジェクトに先立ち、国内燃料大手のコペック(Copec)、電力会社のコルブン(Colbun)に加え、フランスのエア・リキード(Air Liquide)、ヴァンシ・エアポート(VINCI Airports)、ADPグループとの覚書(MOU)が締結されており、今後は水素の製造プラントを空港内に設置するための実現可能性調査(FS)の実施が予定されている。

サンティアゴ国際空港は、2021年10月にも、二酸化炭素(CO2)を排出しない、ゼロエミッション機の運用開始に向けた、航空機燃料へのグリーン水素の導入計画を当時のエネルギー相との共同記者会見の場で発表している。チリにおけるこれらの取り組みは、再生可能エネルギーの分野における地の利を生かした先進的なもので、中南米域内では初の事例としても注目を集めている。

再生可能エネルギーに由来するグリーン水素を競争力の高い価格帯で製造し、輸出する国として、世界のトップクラスを目指す、という「グリーン水素国家戦略(2020年11月12日記事参照)」を2020年11月に発表して以降、チリでは水素関連のニュースが頻繁に国内のメディアをにぎわすようになった。2022年6月9日付「ディアリオ・フィナンシエロ」紙では、外務省傘下の貿易振興局(ProChile)オランダオフィスの代表を務めるマルセロ・ビジャグラン氏がチリの水素輸出戦略について、同紙のインタビューに応じている。その中で、将来の主な輸出先候補として欧州、韓国とともに日本の名前を挙げており、銅に代表される鉱物資源や、農林水産物に代わる新たな輸出品としての水素への期待をのぞかせた。

(佐藤竣平)

(チリ)

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