中国の新型コロナ対応責任者、コロナ対応の変遷を4段階に分類

(中国)

中国北アジア課

2022年05月20日

中国政府は新型コロナウイルスへの対応について、「動態(ダイナミック)ゼロコロナ」政策(注1)を引き続き堅持しつつも、オミクロン株の特徴を踏まえ、具体的な対応内容については調整を図っているとしている(2022年5月19日記事参照)。

2019年末の初めての新型コロナ感染事例の報告以降、中国は約2年半にわたり、新型コロナへの対応を行ってきた。中国国家衛生健康委員会の馬暁偉主任は、2022年5月16日に公表された中国共産党中央委員会の機関誌「求是」(2022年第10期)において、「『動態ゼロコロナ』政策の全体方針を揺ぎなく実行し、新型コロナ感染防止抑制の重大な戦略的成果を断固として揺るぎないものとする」と題する論文を発表した。その中で、約2年半にわたる中国のコロナ対応の変遷を、4段階に分けて説明している(注2)。その概要は以下のとおり(詳細は添付資料表を参照)

第1段階(2020年1~4月):突発的な感染拡大の緊急封じ込め段階(武漢市、湖北省における感染封じ込め段階)。あらゆる手段を用いて重症患者を救助・治療。

第2段階(2020年4月~2021年8月):常態化した感染防止対応の模索段階。外部からのウイルスの侵入を防ぎ、中国国内での再拡大を防止。 PCR検査を中心に感染拡大・感染防止策を実施。

第3段階(2021年8月~2022年1月):全過程での精確な感染防止段階。デルタ変異株の感染拡大を踏まえ、早期かつ小規模段階で抑え込むことにより注力。「動態(ダイナミック)ゼロコロナ」政策の全体方針を確立。

第4段階(2022年1月~):全方位的な総合感染防止段階。オミクロン変異株の感染拡大を踏まえ、科学的精確性や「動態ゼロコロナ」政策をさらに徹底。

そのうえで、馬主任は、今後改善を要する点として、(1)クラスター型感染への迅速かつ集中的な対応、(2)早期感染防止能力のレベルアップ・強化、(3)ケースに応じた救助・治療システムの改善、(4)ワクチン接種および科学技術面の取り組みの継続的な推進、(5)日常医療・生活の保障への取り組みの全面的な強化を挙げた。

(注1)国内の「感染者の発生をゼロにする」ものではなく、感染者の能動的かつ迅速な発見を行い、感染者に対して速やかに疫学的調査、診断、隔離、治療を行い、コミュニティー(社区)で持続的に感染が広がることを防ぐという防疫戦略。

(注2)各段階の対応の実施時期は、前述の馬主任の論文および馬主任の新華社へのインタビュー回答(「新華社」2021年12月1日)を踏まえた。

(中井邦尚)

(中国)

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