インドにおける物流実態についてセミナー開催

(インド)

ニューデリー発

2022年05月13日

ジェトロは4月19日、「インドにおける物流実態セミナー」と題したオンラインセミナーを開催した。インド政府は近年、「自立したインド」を目標に掲げ、「メーク・イン・インディア」による産業競争力の強化を図るとともに、同国が国際的なサプライチェーンにおける輸出ハブとなることを目指している。在インド日系企業の中でも、中東やアフリカといった第三国への輸出を見据える企業が増えており、本セミナーは、インド国内の物流実態に関する情報ニーズに応える目的で開催した。

同セミナーでは、野村総合研究所(NRI)インドクロスファンクショナルコンサルティンググループ副シニアコンサルタント の菊井渉悟氏が、インド国内における主な陸路(道路、鉄道)のほか、輸出拠点となる主な港湾、空港における平均的なリードタイムやコストなどの実態を解説した。その上で、今後、インドが国際的なサプライチェーンにおける輸出ハブとなる上での、物流インフラの主な課題および改善点として以下の点などを挙げた。

  • 道路輸送においては、交通量の多さや路面状況の劣悪さ、市内の大型車両通行規制の影響による輸送効率の低さなどが大きな課題。交通の流れの最適化や高速道路網の構築などが今後の改善のポイントになる。
  • 鉄道輸送においては、積載容量に制限があることや、非効率なオペレーションで輸送時間が不透明となっている。根本的な改善には、既存インフラの見直しや2022年6月に開通が見込まれている貨物専用鉄道(DFC)の完成が待たれる。
  • 港湾においては、従来、港湾を軸とした開発が行われていなかったことから、全体的な物流プロセスが非効率となっていることや、荷役設備の老朽化などにより生産性が低下していることなどが課題。政府による港湾開発プロジェクト(「Sagarmala」)の着実な実行と港湾の民営化推進による効率性の向上が必要だ。
  • 空港においては、ユニット化されていないバラ積みの貨物が搬入され(ルースカーゴ搬入)、空港で貨物のパレット・コンテナ化の作業が実施されることが、貨物の滞在時間の長期化を招いている。改善策としては、空港外施設においてユニット化を実施した上で、空港へ直接搬入する仕組みの構築などが有効と考えられる。

なお、インドにおける物流実態に関する情報は、ジェトロが2022年4月19日に発表した調査報告書において確認が可能だ。

(高際晃平)

(インド)

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