エネルギー規制委員会、イベルドローラに約594億円の罰金支払い命令

(メキシコ)

メキシコ発

2022年05月31日

メキシコのエネルギー規制委員会(CRE)は5月25日付決議書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、スペインの電力事業大手イベルドローラのメキシコ法人に対し、自家発電用の電力を第三者に販売したことに対する罰金として、91億4,538万8,400ペソ(約594億4,450万円、1ペソ=約6.5円)の支払いを命じる手続きを開始したことを明らかにした。

電力公共サービス法(LSPEE)第36条1項で、自家発電は発電事業者自身の電力需要を満たすためのみ認められ、複数の個人または法人によって発電する場合は、当初の発電計画の承認時に出資者だった者、または拡張計画などについて承認を得た際に出資者だった者に限って、当該電力を使用することができると定められている。イベルドローラが2019年1月1日から2020年8月31日の期間に発電した電力について、上記のLSPEEに定める許認可を得ていない出資者へ販売したことが違反事項として指摘されている。LSPEE第40条では、許可なく電力を販売または再販売した場合の罰金をメキシコシティの最低賃金(1日当たり)の100倍に、自家発電所の発電容量(kW)を掛けたものと定めており、イベルドローラへの罰金は2020年1月から適用された最低賃金額123.22ペソが用いられ、74万2,200kWの発電容量を乗じて算出した。

AMLO大統領、CREの命令は「正しい」とコメント

アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領は5月28日、記者の質問に対し、CREの決定について「(イベルドローラに対する)私からの復讐(ふくしゅう)ではない」とした上で「CREの命令は正しい。メキシコはもはや(スペインの)植民地ではないのだから」とコメントした。大統領はかねて、イベルドローラの操業内容について問題視する発言を繰り返しており、スペイン企業が伝統的にメキシコを搾取しているという内容の発言を行った際は、スペイン政府との外交問題に発展した(2022年3月11日記事参照)。5月28日付でメキシコ主要紙の「エル・エコノミスタ」紙がAFP通信社の記事を掲載し、「連邦政府による電力庁(CFE)のプレゼンス強化のための闘いは、新たな局面に入った」との見方を紹介している。

(松本杏奈)

(メキシコ)

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