北アイルランド議定書の実施めぐりEU側の姿勢に遺憾、さらなる行動を示唆

(英国、EU)

ロンドン発

2022年05月13日

英国のエリザベス・トラス外務・英連邦・開発相は5月12日、欧州委員会のマレシュ・シェフチョビチ副委員長(EU機構関係・将来展望担当)とアイルランド・北アイルランド議定書(以下、議定書)の実施に関し電話会談を実施。同相は会談後、声明を発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

同相は声明の中で、議定書が北アイルランドにおける自治政府発足の最大の阻害要因となっているとしたほか、同じ英国内で北アイルランドがグレートブリテン島と同様に扱われない現在の状況が企業の取引に対して大きな混乱を引き起こしているとした。また、同相はシェフチョビチ副委員長に対し、欧州委員会は議定書が当初の目的を果たすより実用的な姿勢(pragmatism)を示す必要があるとした一方で、英国側が提案するデータ共有システムに基づく、物品の移送先に応じた手続き・検査の実施など(2021年7月26日記事参照)により、EUの単一市場を保護しつつグレートブリテン島と北アイルランド間の障壁を取り除くことができるとした。

続けて、EU側の提案(2021年10月18日記事参照)はさらなる検査や手続きを生むとして反対したうえで、障壁削減に向けEU側から新たな提案を行うことはないとシェフチョビチ副委員長が確認したことに遺憾の意を示した。さらにEU側が問題解決に向けて柔軟な姿勢を見せない場合、英国政府として行動を起こさざるを得ないとした。トラス氏は議定書の一部を破棄するための法案を準備しているとされているが、同法案については閣僚、議員の間でも意見が分かれていると報じられている。

議定書をめぐっては、かねてより北アイルランドの親英派政党民主統一党(DUP)が、グレートブリテン島と北アイルランドの間に国境を設けるような内容に不満を示していた。親アイルランド派と親英派の双方の利益を反映させるため、北アイルランド自治政府では双方の政党から閣僚を任命することになっている(注)が、DUPは英国政府から決定的な行動がない限り、任命には協力しないとの姿勢をとっており、混乱が生じている。

(注)先日の北アイルランド議会選(2022年5月11日記事参照)で第1党が親アイルランド派のシン・フェイン党、第2党がDUPとなったことで、首相をシン・フェイン党、副首相をDUPから選出することになる。

(山田恭之)

(英国、EU)

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