石油ガスパイプライン輸送の米トールグラス、ネブラスカ州で穀物由来のCCSプロジェクト発表

(米国)

ヒューストン発

2022年05月24日

石油ガスパイプライン輸送を担う米国のトールグラス・エナジー・パートナーズ(本社:カンザス州リーウッド)は5月18日、米国の穀物メジャーのアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM、本社:イリノイ州シカゴ)が保有するネブラスカ州コロンバスのトウモロコシ加工施設から発生する二酸化炭素(CO2)を回収し、トールグラスの東ワイオミング貯留ハブに輸送して永久的に地下貯留するCO2回収・貯留(CCS)プロジェクトを発表した。

ADMはこのプロジェクトを通じて、自社のグローバル事業とネブラスカ州での農業の脱炭素化に貢献する方針だ。

トールグラスは、自社の天然ガスパイプラインをCO2の輸送サービスに転換し、約400マイル(約644キロメートル)のCO2パイプラインを確立するプロジェクトを進めている。ワイオミング州、コロラド州、ネブラスカ州を通るこのパイプラインは、永久貯留のために年間1,000万トン以上のCO2を輸送することができ、ADMの工場やその他の商業・工業用のCO2排出源からワイオミング州東部の貯留ハブまでCO2を輸送するのに最適な立地となる。同貯留ハブは、2024年のサービス開始を予定している。

米国でのCCSに向けた最近の取り組み事例としては、5月12日にフランスのエンジニアリング大手テクニップ・エナジー(本社:パリ)と米国エンジニアリング企業ソールズベリー・インダストリーズ(本社:テキサス州オデッサ)が、エクソンモービルがワイオミング州に保有するCCS施設拡張に向けた設計・調達・建設(EPC)契約受注を発表した(2022年5月13日記事参照)。また、5月17日には英国の石油ガス大手BP(本社:ロンドン)とアイルランドの産業ガス大手リンデ(本社:ダブリン)がテキサス州で新たなCCSプロジェクトの実施計画を発表した(2022年5月19日記事参照)。さらに、5月18日には米国石油大手シェブロンの子会社シェブロンU.S.A.(本社:カリフォルニア州サン・ラモン)がカリフォルニア州サンウォーキンバレーで、同社事業の炭素集約度削減を目的としたCCSプロジェクトの立ち上げを発表している(2022年5月19日記事参照)。

(沖本憲司)

(米国)

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