仏テクニップと米ソールズベリー、米エクソンのワイオミング州内のCCS施設拡張で契約受注
(米国、フランス)
ヒューストン発
2022年05月13日
フランスのエンジニアリング大手テクニップ・エナジー(本社:パリ、以下、テクニップ)と米国エンジニアリング企業ソールズベリー・インダストリーズ(本社:テキサス州オデッサ、以下、ソールズベリー)は5月12日、米国石油大手エクソンモービル(本社:テキサス州アービング)が米ワイオミング州ラ・バージに保有する二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)施設の拡張に向けた設計・調達・建設(EPC)契約を受注したと発表した。
ラ・バージの施設は現在、年間600万トン以上のCO2を回収する能力を有している。今回の拡張により、さらに年間100万トン以上のCO2を回収することが可能となる。
拡張工事は、既存のガス処理設備の改良によるCO2回収能力の増強と、CO2を貯留する貯留槽への輸送用パイプラインの敷設で構成される。テクニップが設計・調達を担当し、ソールズベリーが建設およびパイプラインの敷設を行う。今回の拡張に4億ドルの投資が予定されており、拡張施設の操業開始は早ければ2025年頃の見通しだ。
エクソンモービルの低炭素ソリューションズ部門のプレジデントであるダン・アンマン氏は「ラ・バージのCCS能力の拡大は、世界中のプロジェクトで低排出技術を推進する当社の取り組みを明確にするものだ。CCSは、社会のネットゼロ目標の達成に必要な技術であり、適切な政策があれば、この技術を直ちに広く普及させることができる」と述べている。
エクソンモービルは2021年4月19日、ヒューストン地域の石油化学工場から排出される二酸化炭素(CO2)を回収し、メキシコ湾の海底に貯蔵する官民共同事業構想を提案している。本構想では、CO2回収量を2030年までに5,000万トン、2040年までに1億トンとする計画で、実現に向けては、企業や政府機関から1,000億ドル以上の資金支援が必要になるとしている(2021年4月21日記事参照)。同社はまた、2022年3月1日に同社の操業や地域産業から排出されるCO2を削減するため、テキサス州ベイタウンの複合施設での水素製造とCCSを計画していると発表している(2022年3月4日記事参照)。
(沖本憲司)
(米国、フランス)
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