米テキサス州フォートワース市、ビットコイン採掘を行う全米初の市政府に

(米国)

ヒューストン発

2022年05月02日

米国テキサス州フォートワース市議会は4月26日、暗号資産の1つであるビットコインのマイニング(採掘)・パイロットプロジェクトの実施を承認し、採掘を同日開始したと発表した。米国の自治体がビットコインのマイニング採掘を自ら行うものとして、初めての試みとなる。

同市は、テキサス・ブロックチェーン協議会(TBC、注1)から寄贈された採掘機器を24時間、年中無休で稼働させる。管理可能な規模で責任を持ってプロジェクトを実施するため、採掘機器の台数は3台に限る。6カ月間の採掘実施後に、同プロジェクトに対する評価を行なう予定だ。

同市はこのプロジェクトについて、テクノロジーとイノベーションの中心地を目指す同市の目標を推進するものとして位置付けており、マティー・パーカー市長は「ブロックチェーン技術や暗号資産が金融業界に革命を起こしている中、フォートワース市をテックフレンドリーな都市に変革したい」と述べた。また、同市に採掘機器を寄贈したTBCのリー・ブラッチャー会長は「フォートワース市は、テキサス州内の暗号資産の採掘施設と地理的に近く、市長も協力的なため、テキサス州、ひいては米国のビットコイン採掘の首都となる最有力候補だ」として、同市の取り組みに期待を寄せた。

テキサス州のグレッグ・アボット知事が「テキサス州は暗号資産のリーダーになる」と力説するように、同州は暗号資産産業の育成に前向きだ。同州は2021年9月1日、ブロックチェーン技術に関するワーキンググループを設立したほか、米国統一商事法典(注2)に暗号資産を規定する州法を施行した。また、4月8日には電気自動車(EV)メーカーのテスラ(本社:テキサス州オースティン)の太陽光発電と蓄電技術を活用したビットコイン採掘建設が発表されるなど、テキサス州は暗号資産の採掘場所として注目を集めている(2022年4月19日記事参照)。

(注1)テキサス・ブロックチェーン協議会は、ビットコイン、暗号資産、ブロックチェーン産業に関わる企業や個人により構成された非営利団体。

(注2)米国統一商事法典(Uniform Commercial Code: UCC)は、連邦法では一律に規制し得ない商取引の分野について、米国法を統一する目的で作成された法典(2016年8月、貿易・投資相談Q&A参照)。

(深澤竜太)

(米国)

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