中国の対ロシア輸出3月はマイナスに、電話機やパソコンが大幅減少

(中国、ロシア)

中国北アジア課

2022年05月12日

ジェトロがグローバル・トレード・アトラスを基に中国の対ロシア貿易(ドルベース)をまとめたところ、2022年第1四半期の中国の対ロシア輸出は、前年同期比25.9%増の164億4,296万ドルとなった。

HSコード4桁ベースで輸出額上位10品目(第1四半期の輸出金額順)をみると、上位9品目で増加した(添付資料表1参照)。

一方、3月単月の輸出額は、前年同月比7.7%減の38億2,525万ドルとなった。電話機(8517)(43.6%減の2億1,318万ドル)や自動データ処理機械(8471)(39.2%減の1億6,943万ドル)などが大きく落ち込んだ(注)。自動車(8703)(60.4%増の1億9,074万ドル)、気体ポンプ、真空ポンプなど(8414)(8.2倍の3億2,069万ドル)などは大きく増加したことから、輸出全体では微減となった。

なお、電話機の主な構成品目であるスマートフォンについて、米国調査会社IDCの公表資料によれば、2021年第3四半期におけるロシアでのブランド別の市場シェア(数量ベース)は、1位サムスン電子(韓国)(34%)、2位が小米科技(中国、シャオミ)(26%)、3位がアップル(米国)(15%)と続く。シャオミは、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻後、多くの中国企業と同様に、ロシアとの取引方針の変更などは明らかにしていない。アップルを含む米国大手主要企業は、ロシアでの製品発売の停止を発表している(2022年3月3日記事参照)。なお、中国には、台湾の鴻海精密工業などアップルの主要サプライヤーの工場が多く所在している。

対ロ輸入、資源価格上昇を受け主要品目で軒並み増加

2022年第1四半期の中国の対ロシア輸入は、前年同期比34.8%増の216億5,739万ドルとなった。

輸入額上位10品目(第1四半期の輸入金額順)をみると、9位の銅鉱(2603)を除く9品目で増加した(添付資料表2参照)。ただし、1位の原油(2709)(前年同期比37.6%増の120億5,032万ドル)、2位の石炭(2701)(95.4%増の16億8,435万ドル)、3位の石油ガスその他のガス状炭化水素(天然ガスなど、2711)(2.1倍の15億5,535万ドル)の上位3品目を含む6品目では、金額は増加した一方で、数量では減少した。国際的な資源価格の上昇が輸入額を押し上げたとみられる。ただし資源のうち、5位の石油および歴青油(2710)については金額、数量ともに大幅に伸びている。

3月単月の輸入額は、前年同月比26.4%増の78億4,395万ドルだった。

なお、中国海関総署の李魁文報道官は4月13日の記者発表に際し、中国税関は中国とロシア、ウクライナおよびその他の関係国との間の正常な経済・貿易協力に引き続き貢献していくと述べている(2022年4月14日記事参照)。

(注)これら2品目について2022年3月の中国の対世界の輸出額は、電話機(8517)が前年同月比0.7%減の192億115万ドル、自動データ処理機械(8471)が7.9%増の179億5,582万ドルだった。

(小林伶)

(中国、ロシア)

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