米主要企業、ロシア関連事業の撤退・停止を相次いで表明

(米国、ロシア、ウクライナ)

ニューヨーク発

2022年03月03日

ロシアによるウクライナへの軍事行動を受けて、米国をはじめ各国が対ロ制裁を強化している中、主要な米国企業が相次いでロシア関連事業の撤退や停止を表明し始めている。

ロシアの主要産業のエネルギー分野では、エクソンモービルが3月2日、天然ガス・原油採掘事業「サハリン1」の操業停止手続きを開始し、ロシアでの新規投資は今後実施しないと発表したことが大きく取り上げられた(2022年3月2日記事参照)。

それ以外の分野での主な動きは次のとおり(注)。

  • 金融分野:ビザ、マスターカード、アメリカンエキスプレスは自社ネットワークからロシアの金融機関を排除または提携を停止。このほか、金融分野には最も厳しい制裁が科されているため、大手銀行などが制裁措置への順守を進めているとみられる。
  • ロジスティクス分野:UPSはロシア、ウクライナ、ベラルーシとの間の輸送サービスを停止。フェデックスはウクライナとの間の輸送サービスとロシアへの輸送サービスを停止。デルタ航空はアエロフロートとの共同運航提携を停止。アメリカン航空もアエロフロート、S7航空との提携を停止。
  • 輸送機器分野:ゼネラルモーターズ(GM)がロシア事業を停止。同社は年間約3,000台の車両をロシアに輸出している。フォードがロシア事業を停止。同社は合弁企業を通じて商業用バンの製造と同社製車両の販売事業を行っていた。ボーイングがロシアでの主要な事業を停止するとともに、ロシア国内の従業員や提携者による機微な技術データへのアクセスを制限。
  • テクノロジー分野:マイクロソフトやメタ(旧フェイスブック)、グーグル、アップルは自社のプラットフォームやアプリストアなどからロシア政府が管理・運営しているアカウントやメディア、広告などを排除。アップルはロシアでの製品販売も停止。PC大手のデルもロシアでの製品販売を停止。

このほか、スポーツ用品のナイキがロシアでのオンライン販売を停止、エンターテインメント分野では、ディズニーやワーナーブラザーズが新作コンテンツのロシアでの公開を停止するといった動きも出ている。今後も、ロシアによる軍事行動が続く限り、これら事例に続く企業が増えていくと見られる。

(注)米国時間3月2日時点の各社のプレスリリースや報道情報を基にしている。

(磯部真一)

(米国、ロシア、ウクライナ)

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