2022年第1四半期実質GDP成長率は3.8%、雇用の回復が後押しも鉱業は社会争議が足かせに

(ペルー)

リマ発

2022年05月26日

ペルー国家統計情報庁(INEI)は5月23日、2022年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率は前年同期比3.8%と発表した(添付資料表1参照)。2021年第1四半期(2022年2月28日記事参照)から5期連続のプラス成長を記録した。INEIによると、主に4.8%増となった食品やサービスを中心とした民間消費と、4.0%増の天然ガスや魚介類、果実などを中心とした非伝統産品の輸出が成長の牽引役となった。

民間消費の増加の背景には、2022年第1四半期のリマ都市部の就労人口(前年同期比19.5%増)や平均名目所得額の増加(6.1%増)に加えて、新型コロナウイルス感染者数の減少に伴う収容人数制限の撤廃など、各種行動規制の緩和がある。分野別では、主に食品(2.1%増)や、その他衣類、薬品、消耗品などの非耐久消費財(2.6%増)、外食などのサービス(6.9%増)の成長が後押しし、GDPにおける民間消費の割合は64.0%〔1,381億3,300万ソル(約4兆6,965億円、1ソル=約34円)〕に上った。一方で、ドル高やエネルギーコストの急騰などにより、国内消費者物価指数(CPI)は3月には直近12カ月間の累計インフレ率が6.8%に上昇し、食品や飲料については9.7%となっている。

財貨とサービスの輸出では、天然ガス(前年同期比2.6倍)、冷凍冷蔵魚介類(25.1%増)、果物・野菜缶詰(23.8%増)、ブドウ(14.2%増)、銅精鉱(14.1%増)、金鉱(1.8%増)などが増加。主な仕向け先は中国(全輸出の27.2%)を筆頭に、米国(14.6%)、韓国(6.9%)、日本(6.0%)、カナダとインド(それぞれ4.1%)が上位を占めた。

経済活動別では、新型コロナ感染対策が行動規制からワクチン規制に緩和されたことで、レストラン・ホテル分野が前年同期比49.4%成長した(添付資料表2参照)。運輸(輸送・倉庫・郵便など)も12.4%と高い成長率を記録した。農林業(畜産・狩猟・林業を含む)は3.7%成長となった。主にブルーベリー(2.2倍)、レモン(14.3%増)、パーム油(11.7%増)、ブドウ(10.0%増)、イモ類(5.9%増)、マンゴー(5.6%増)の生産増が下支えした。一方、水産業は、カタクチイワシの沿海北・中央部での第2期漁の終了に伴い、前年同期比で26.2%減少。製造業は、金属製品(主に機械類や電気製品製造と建築資材)や繊維・皮革品がそれぞれ14.8%と7.2%と成長したが、製造業全体では2.0%成長にとどまった。鉱業は、一部地域の社会争議の影響で、亜鉛(11.8%減)、銀(6.6%減)、鉛(4.0%減)、金(2.1%減)、鉄(1.1%減)の生産が伸び悩んでいる。

(設楽隆裕)

(ペルー)

ビジネス短信 ceabc5f9d7ee02ab