広東省の日系サプライヤー、一部で資金繰り悪化の懸念も

(中国)

広州発

2022年05月02日

中国では、上海市を中心とする新型コロナウイルス感染の急拡大を受け、各地で物流やサプライチェーンが混乱。華南地域の日系企業のサプライチェーンにも影響が生じた(2022年4月14日記事参照)。

華南地域の日系自動車部品サプライヤーの中には、資金繰りが悪化し始めている企業も出ている。

現地日系金融機関の4月22日時点の情報によると、華東地域のティア1サプライヤーからの部品供給の停滞により、完成車メーカーのラインが止まったため、華南地域のティア1、2、3のサプライヤーに広く影響を及ぼすこととなったという。華南地域のサプライヤーでは、防疫措置による操業制限などは受けておらず、ほとんどが稼働できているが、生産しても納入できない。そのため、各社は4月の売り上げが立たず、預金を切り崩して仕入れ先への支払いを行い、キャッシュフローを維持している状況だという。

足元では、華東地域のサプライヤーからの部品納入が一部再開するなど、華南地域の日系企業サプライチェーンの混乱にも回復の動きがみられる。加えて、中国政府が新型コロナウイルス感染の影響下でも物流が保障されるよう対策強化を打ち出したことを受け(2022年4月13日記事参照)、広東省でも全国統一形式による「重点貨物の車両通行証」の発行が開始した。

現地日系自動車メーカーの4月24日時点の情報によると、華東地域のサプライヤーの中には生産が再開していない企業もあり、依然として予断は許さない状況ではあるものの、稼働を再開できるラインが増えてきているという。同社は5月の連休中も一部ラインの稼働を継続し、生産の遅れを挽回する予定だ。

(田中琳大郎)

(中国)

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