米FDA、J&J製コロナワクチンの接種対象者を制限、まれの血栓症リスクで

(米国)

ニューヨーク発

2022年05月09日

米国食品医薬局(FDA)は5月5日、現在18歳以上であれば誰でも接種可能なジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製の新型コロナワクチンに関し、接種対象者を制限すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今後、同社製のワクチンは、18歳以上かつ、他社製のワクチンが入手不可能あるいは臨床上適切でないと判断され、J&J製以外のワクチンは接種しないという人に限り、承認するとしている。

FDAは、接種して1~2週間後にまれに見られる、深刻な血栓症を伴う血小板減少症候群(TTS)に関する調査の結果、使用承認の制限が必要だと判断した。

J&J製ワクチンは2021年2月27日、FDAにより緊急使用許可が承認された。同年4月13日、FDAと米国疾病予防管理センター(CDC)は、同社製ワクチンの使用を一時停止するよう勧告する共同声明を発表した(2021年4月14日記事参照)ものの、10日後の4月23日には同勧告を解除する共同声明を発表していた(2021年4月27日記事参照)。

FDAとCDCは、その後の継続調査を通じて、2022年3月18日までに9件の致命的なケースを含む合計60件のTTSが確認されたとしている。他方、FDAは、今回制限を受ける対象者がJ&J製のワクチン接種により受けられる利点は、リスクに勝ると判断している。

FDA生物製剤評価研究センターのピーター・マークス所長は、発表を通じて「FDAは引き続きJ&J製を含む全てのワクチンの安全性を観察し、これまでどおり新たな安全性情報を徹底的に審査する」と述べた。

(吉田奈津絵)

(米国)

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