米FDAとCDC、J&J製ワクチン使用の一時停止を勧告
(米国)
ニューヨーク発
2021年04月14日
米国の食品医薬局(FDA)と疾病予防管理センター(CDC)は4月13日、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製の新型コロナウイルスワクチンの使用を一時停止することを勧告する共同声明を発表した。
共同声明によると、J&J製ワクチンの接種後にまれだが、深刻な血栓が生じたケースが6件発生しており、CDCとFDAが症例についてそれぞれ調査を行うとしている。6件のケースは18~48歳の女性で確認され、症状はワクチン接種後6~13日以内に発生したという。他方、FDAの生物製品評価研究センター(CBER)のピーター・マークス所長は13日の共同記者会見で、J&J製に限らず、新型コロナウイルスワクチン接種後の数日間は頭痛を含めたインフルエンザに似た症状が現れることがあるが、それらは通常の副反応だと指摘した。
また、マークス所長は記者会見で、ワクチン使用の一時停止を「命令」ではなく「勧告」としていることに関して、医療提供者が接種対象者と相談し、J&J製ワクチン接種の利点とリスクを踏まえ、接種が適切だと判断した場合は接種を阻止しないと説明した。
J&Jは今回の勧告を受けて声明を出し、欧州の保健当局とも今回確認された症例を検証しており、欧州でのワクチン展開を遅らせることを決定したと発表した。また、FDAとCDCが、同社製ワクチンを接種して3週間以内に深刻な頭痛や腹痛、足の痛み、息切れの症状が発生した場合は、医療提供者に連絡するよう助言している点にも言及している。
J&J製ワクチンをめぐっては、接種後に副反応が発生したとして、ここ数週間でコロラド、ノースカロライナ、ジョージア各州で同社製ワクチンを提供する大規模接種施設が一時閉鎖されていた(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版4月13日)。
「ニューヨーク・タイムズ紙」紙電子版(4月13日)によると、FDAとCDCによる共同声明発表後、少なくとも40州がJ&J製ワクチンの接種の一時停止または一時停止勧告をしているという。
(吉田奈津絵)
(米国)
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