農民工人口、再び増加に転じる、高齢化も進展

(中国)

北京発

2022年05月10日

中国国家統計局は4月29日、「2021年農民工観測調査報告」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。それによると、2021年の中国の農民工人口は前年比2.4%増の2億9,251万人だった(注1)。2020年は、国家統計局が2009年に(2008年の数値を含め)同報告の発表を開始して以来、初めて前年比で減少したが、2021年は再び増加に転じた(添付資料表参照、2021年6月24日付地域・分析レポート参照)。国家統計局は「農民工の就業状況は全体としては安定しており、収入も増加傾向にある」との見方を示した。

受け入れ地域別に農民工人口の増減をみると、中部地域が前年から344万人増(前年比5.5%増)と最も増加しており、その増加分は全国の増加数のうち49.8%を占めた。東部地域は306万人増(2.0%増)、西部地域は1万人増(横ばい)、東北地域は41万人増(4.8%増)、その他の地域(国外、香港、台湾、マカオ)は1万人減(1.4%減)だった(注2)。

報告によると、2021年の農民工の平均年齢は41.7歳となり、前年より0.3歳上昇した。年齢別構成比をみると、全体の48.2%と最も構成比が大きい40歳以下が前年比では1.2ポイント低下した。一方、全体の24.5%を占める41~50歳は前年より0.3ポイント上昇した。また、51歳以上の構成比が前年より0.9ポイント高まって27.3%となった。農民工人口のうち51歳以上が占める割合は2014年以降、毎年拡大している。

農民工の業種別構成比をみると、第二次産業が48.6%と、前年より0.5ポイント上昇したのに対し、第三次産業は50.9%で0.6ポイント低下した。このうち、修理などのサービス業、卸売・小売業がそれぞれ0.6ポイント、0.1ポイント低下した。

平均月収は8.8%増

2021年の農民工の平均月収は前年比8.8%増の4,432元(約8万6,867円、1元=約19.6円)となった。このうち、戸籍地の外で従業する農民工の収入は10.2%増の5,013元、地元にとどまる農民工は7.5%増の3,878元だった。

業種別で見ると、農民工の就業が集中している業種(製造業、建築業、卸・小売業、交通運輸・倉庫・郵政業、ホテル・飲食業、住民サービス業、修理・その他サービス業)の平均月収はいずれも前年比で増加した。このうち、製造業は前年比10.1%増の4,508元、建設業は9.4%増の5,141元、卸売・小売業は7.5%増の3,796元などだった。

農民工の就業地域別に平均月収の伸びを見ると、東部が前年比10.0%増の4,787元、中部が8.8%増の4,205元、西部が7.1%増の4,078元、東北部が6.7%増の3,813元となった。

(注1)同調査報告の定義によると、「農民工」とは、戸籍が農村部にあり、年間を通じ地元で農業以外に従事しているか、地元以外で年間6カ月以上従業している労働者を指す。このうち、戸籍が所在する郷鎮(中国の行政単位で日本の町村に相当)で従業するものを「本地(戸籍地内)農民工」、戸籍が所在する郷鎮以外で従業する農民工を「外出(戸籍地外)農民工」と定義している。

(注2)同報告の地域区分は次の通り。中部地域(山西省、安徽省、江西省、河南省、湖北省、湖南省の6省)、東部地域(北京市、天津市、河北省、上海市、江蘇省、浙江省、福建省、山東省、広東省、海南省の10省・市)、西部地域(内モンゴル自治区、広西チワン族自治区、重慶市、四川省、貴州省、雲南省、チベット自治区、陝西省、甘粛省、青海省、寧夏回族自治区、新疆ウイグル自治区の12の省・市・自治区)、東北地域(遼寧省、吉林省、黒龍江省の3省)。

(趙薇)

(中国)

ビジネス短信 b392838d9ae633d7