米ハワイ州のイゲ知事が訪日、日本人旅行者の増加を期待

(米国、日本)

ロサンゼルス発

2022年05月11日

米国ハワイ州のデービッド・イゲ知事(民主党)とスコット・サイキ州下院議長(民主党)は、5月13日までの日程で訪日している。

イゲ知事とサイキ下院議長は5月9日、岸田文雄首相を表敬し、日本とハワイとの関係がさまざまな面で一層緊密になっていくことを期待する、と述べ、特に、ハワイへの日本人旅行者の増加に対する期待を表明した。岸田首相は、イゲ知事およびサイキ下院議長の訪日を歓迎するとともに、日本とハワイの間の強固な絆は日米関係を支えており、同知事および下院議長が、今後も引き続き日米の架け橋として活躍されることを期待していると述べた。

イゲ知事とサイキ下院議長は、林芳正外相を表敬訪問したほか、萩生田光一経済産業相への表敬や、旅行業界関係者との会談を予定している。

ハワイ州産業経済開発局の統計によると、ハワイ州の日本人旅行者数は2019年に157万人だったが、「新型コロナ禍」以降、2020年は28万人、2021年は2万人に激減している。全体の旅行者数は、2019年に1,038万人を記録した後、2020年に270万人に減少する一方、2021年には677万人まで回復している。米国本土からの旅行者が回復を牽引しており、2021年5月以降は2019年の同月の水準を継続して上回っている。反対に、日本からの旅行者は落ち込んだままで、2019年と2022年のゴールデンウィーク期間中の1日平均旅行者数(空路のみ)を比較すると、2019年は5,035人を記録したが、2022年は368人に過ぎない(注)。

ハワイ州は、新型コロナウイルスの感染拡大以降、厳しい感染対策を講じてきたが、2022年3月25日に屋内でのマスク着用義務を解除し、米国市民および本土経由で同州へ入国する渡航者に適用していた検疫と事前検査プログラム「セーフ・トラベル・ハワイ・プログラム」を終了した(2022年3月3日記事参照)。同州の経済にとって重要な観光産業の回復を図っているところだが、円安ドル高が急激に進行し米国の物価上昇が収まらない状況は、日本人が同州への旅行を敬遠するネガティブな要因として働く可能性がある。

イゲ知事は、訪日に先立ち、「日本は、海外旅行者の受け入れという観点からみて、最も重要な供給国で、日本との関係を再開させることを楽しみにしている」と述べており、今回の訪日を通じて、日本人観光客のハワイ渡航へ向けた環境整備を働きかけるとみられる。

(注)ゴールデンウィーク期間については、2019年は4月27日~5月6日の10日間、2022年は4月29日~5月8日の10日間としている。

(永田光、片岡一生)

(米国、日本)

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