バイデン米政権、「未来のインターネットに関する宣言」発表、60カ国・地域が賛同

(米国、日本、世界)

ニューヨーク発

2022年05月02日

米国ホワイトハウスは4月28日、日本を含む60カ国・地域(注1)と「未来のインターネットに関する宣言」を立ち上げると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

宣言(英語PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)日本語PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))では、「開かれたインターネットへのアクセスが、一部の権威主義的な政府によって制限されており、オンラインプラットフォームやデジタルツールが表現の自由を抑圧し、その他の人権や基本的自由を否定するためにますます使用されるようになっている」との懸念を表明。こうした課題に対処するために、インターネットとデジタル技術に関して、(1)人権、基本的自由の保護、(2)グローバル(分断のない)インターネット、(3)包摂的かつ利用可能なインターネットアクセス、(4)デジタルエコシステムに対する信頼、(5)マルチステークホルダーによるインターネットガバナンスに関する原則を掲げた。グローバルなインターネットについては、共有する価値に基づき、信頼性のある自由なデータ流通の便益を実現するべく取り組みを推進するなどと記した。デジタルエコシステムに対する信頼については、個人のプライバシー保護や信頼できるネットワークインフラ、サービスの供給者の利用などをうたった。

宣言参加国・地域はこれらの原則を既存の多国間枠組みで推進し、具体的な政策を実行していく。28日に開催された宣言の立ち上げイベントには、日本から金子恭之総務相がテレビ会議形式で出席し、2023年に日本で開催予定のインターネット・ガバナンス・フォーラム(注2)との連携可能性などについて発言した(総務省発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

バイデン政権高官は27日に行った記者説明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、ロシアや中国のデジタル権威主義が台頭する中で、民主主義国家や同志国が宣言を立ち上げることの意義を指摘した。また、今回の宣言は米国単独の取り組みではなく、同盟・パートナー国との共同の取り組みと強調した。宣言の具体的な実行策を問われた際には、バイデン政権が構想を練る「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」やEUとの「米国EU貿易技術評議会(TTC)」(2021年9月30日記事参照)」での政策面での協調を例に挙げた。

(注1)ホワイトハウスのファクトシートによると、宣言の参加メンバーには60カ国・地域とともに、EUの欧州委員会も含まれている。

(注2)インターネットに関する公共政策課題について、政府、民間部門、技術・学術コミュニティー、市民社会などのマルチステークホルダーが対話を行う会合。国連経済社会局が事務局を務める。

(甲斐野裕之)

(米国、日本、世界)

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